目加田経営事務所

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その顧問先企業は年度初めに一流ホテルの大宴会場を借り切り、メインバンクを始め、多くの来賓を招待して経営計画発表会を盛大に開きました。最初の発表会から今年でもう四半世紀がたちます。現社長に経営の実権が承継されて以来の伝統行事です。普段はユニフォーム姿の社員のみなさんも、その日は大事な大事なパーティに参加するようにきりりと引き締まった正装で全員が参加します。なぜ、来賓を招いて費用をかけて一流ホテルを借りて開くのかと言えば、経営方針がいかに重要であるかということを分かってもらうことと、トップ自らが発表した経営方針を不退転の決意で実行せざるを得ない状況に追い込むためです。
不景気の折ですから、会社の会議室で夕方の時間を利用して、身内だけの発表会を開いてもよさそうなものですが、日常を離れて、心地よい環境で、全社員がハレの衣装で、メインバンクや多くの来賓をお迎えし、真摯な気持ちで、実態を包み隠さず報告し、謙虚に反省し、新しい年度に臨む方針を誠実に発表する事により、会社のムードが変わるのです。過去と決別し、新しい未来をつくる決意と覚悟を決める絶好のチャンスです。

発表会の数日前から激励の言葉では何を伝えようかとあれこれ調べ考えていると、論語のある一節がぴったりくると思いました。学而編第一の「吾 日に吾身を三省す。人のために謀りて忠ならざるか 朋友に交わりて信ならざるか 伝えて習わざるか」というくだりです。その顧問先は年々業績とともに意識が高まり、社員一人一人の内面の充実が実感できています。業績に自信を持ち、引合も多く、指名や特命の仕事が増えてきており、業界では右に出るものが無いほどになっています。いままで以上に発展するためには、さらに内面の充実が必要と考えたのです。

前職ではこれを三省と称して唱和していました。「一、今日一日、わが社の業績を高める上に誤りなかりしか。 一、今日一日、わが社の信用を高める上に誤りなかりしか。一、今日一日、教えざること学ばざることなかりしか」

安岡正篤先生は三省の省という字の意味を「ふりかえる」だけでは不十分で、「はぶく」という意味をしっかりと受け止めて初めて意味があると言っておられます。日々、たびたび、吾身をふりかえり、謙虚に反省し、煩雑になりがちなものを、シンプルにし、無駄を省き、さらにスムーズにこなせるようにするのが三省の意味する所だそうです。
この顧問先のトップは実直を通り越した愚直を信念とされているぐらい人間のできた人物です。このトップにして三省が加わればますます将来が楽しみで、発展間違いなしだと確信した一日でした。

2012.06.15:目加田博史:count(1,543):[メモ/レポート]
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