目加田経営事務所

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朝日放送の「劇的ビフォーアフター」という人気長寿番組をいつも楽しみに見ています。プロの建築士の中には首をかしげる人もいるようですが、アマの目から見るとリフォームする時は「絶対匠に頼もう」と思ってしまうぐらい、ためになる番組です。
実に心憎いほど、施主のニーズをとらえて、それ以上の提案をしてくれます。もちろん、テレビ番組ですから、販促を兼ねた利益度外視の仕事になっているのでしょうが、材料費や工事費は施主予算内に押さえています。たとえ、それが原価としてもそれほど高く感じないぐらいのきめの細かさを「匠」が見せてくれます。
特に、造作を「匠」自ら会社に出向き加工するところは素晴らしいと思います。
そこまでやる人はいないと言えば、それまでですが、そこまで求めている人が多いという裏返しでもあると思います。そこまで求めているのに、実際は既製品の組み合わせで現場でアッセンブルして、おさまりを調整して終わりになる工事が殆どだという現実がこのような不満を生んでいると思います。このような施主のニーズにこたえて問題を解消する高収益企業が出てくると思います。

それはさておき、住人が抱えているさまざまな不便や不安を「匠」が見事に解決し、最後は感謝と感激の涙で喜ばれるまでのプロセスを見せてくれます。本来、建築は建ててみないと何が起きるかわからないし、住んでみないとどうなるかわからない事業です。
東日本大震災で発生した地盤沈下や液状化はその最たるものですし、同じ工法の木造家屋でも全壊した家もあればびくともしない家もあります。新築ですらそうですから、リフォームとなると「やってみないとわからない」と言えます。

だから、建設業はクレーム産業とよばれ、クレームこそ利益の源泉と捉えた企業が生き残りました。クレームは顧客満足度を高めるために努力するので、高品質サービスを生みだします。十人十色の価値観を大切に扱い、満足を提供するのですから、汎用品で対応できるはずがないのです。だからと言って、全て特注品となるとコストが合いません。
そのバランスをとり施主が憧れていた空間に仕上げて感謝されるところが「匠」のなせる技と言えます。本来、大工さんは施主の希望を聞いて、建築場所の地盤や日あたり具合をみて、どの木をどれぐらい使うかを考えて建築したと言います。図面は大工さんの頭の中にあり、施主は確認のしようがなかったはずです。それでも喜んで大切に使い、数百年長持ちする住宅ができたのです。度重なる天災地変にも耐え抜いて今に至る建築物が各地にあります。

リフォームは生活する上で目立つ、段差等のバリア問題、間取り等のスペース問題、収納等の使い勝手問題で、主に内装に関することが多いと思いますが、これらが解消されると、耐震性、断熱性、機密性、排水等の基礎性能が気になります。
番組ではほとんどの場合、建て替えた方が早いと思うぐらい骨組みだけに解体しますが、このときに、基礎や構造の問題がある家とない家があります。基礎や構造は人間でいえば人生観や骨格に相当しますので、見た目だけでは分かりません。少し掘ると水が出てきたり、地盤が沈下していたり、地盤改良しないと危険な家や、柱がつぎはぎで壊れなかった方が不思議な家があります。
一方、基礎や構造にはしっかりとお金をかけて長持ちする安心を手に入れている家もあります。職業柄、人間も会社も家も同じだなあと思いながら見てしまいます。基礎がしっかりしている人や会社は地に足がついていて安心ですし、信頼できます。構造がしっかりしている人や会社は、少々のことが起きてもびくともしないだけの精神力や財務力やチームワークができています。
土台となる基礎と構造には長い目で時間とカネをかけて、しっかりした安心できるモノをつくりましょう。
2011.10.05:目加田博史:count(423):[メモ/レポート]
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