目加田経営事務所

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かねてより尊敬している作家、神渡良平氏の新刊でダスキン創業者、鈴木清一氏の不屈の精神を描いた「敗れざる者」(PHP刊)のあとがきに、昭和39年(1964年)、世界一のワックスメーカーのジョンソン社に自社ケントクを乗っ取られた鈴木清一氏が、かねて師事していた一燈園の西田天香さんに相談にいったときの感動的な場面があります。
同じ感動を味わっていただければと思いそのまま引用します。(P385〜386)

鈴木氏はかねがね「損と得とあらば損の道を行く」を信条としていたが、いざ実際にそういう場面に遭遇すると、信条とは裏腹に、はらわたが煮えくり返ってしまった。意見を求められた天香さんは、自分が巻き込まれた関東大震災の話をした。
「私は御殿場近くの汽車の中であの大震災に遭遇しました。東京に入ってみると阿鼻叫喚の巷と化し、燃え盛る紅蓮の炎に巻かれて 焼け死んだ人々の遺体をそこここに見ました。想像を絶する大惨事に直面し、私は荒灰の中につっ伏してお詫びしました。 『関東の方々、どうぞお許しください。私が気づくのが遅かったばかりに、こんな大惨事が起きてしまいました』
私には他人事と思えなったのです。自分への警告と思われ、これは身を正さなければと反省したのです。 瓦礫の後片付けを手伝った後、京都に引き返すと、それまで住んでいた家を引き払い、裸一つで出直しました。 鈴木さん、天はあなたの中の甘えをそぎ落とすために、今度の出来事を仕組まれたのではないでしょうか。
あなたが祈りの経営を実践し、道と経済の合一を果たそうとしても、あなたの中にないものは顕現のしようがありません。
まず、あなたの中に形成されて、次にあなたの会社に実現されていくものです。
今度のことはお光があなたに課した”行”だと思いなさい。辛く悲しい行です。でもその行を経て、あなたの中に新しいものが 育ったとき、そこから新しいひこばえが育つのです。誰も恨んじゃいけません。全部自分への諭しだと思って、感謝して受け止めなさい。」
鈴木氏はその諭を聞いて、はじめて人間的な迷いが吹っ切れた。そして、もう一度ゼロから出発し、ついにダスキン王国を創りあげたのだ。

なるほどと思って真似のできることとできないことがありますが、この精神は真似できるものではありません。特に、戦後の豊かさとともに育った私には、名誉や地位だけでなく生活の基盤から経済の基盤まで、ある意味で命までもなげうつ「無私」の境地に至ることができません。まだまだ修行が足りないと痛感しています。先人の潔さを改めて見直す良い機会ではないかと思います。
2011.10.05:目加田博史:count(306):[メモ/レポート]
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