目加田経営事務所

▼【100年続いてこそ企業】

よく言われる言葉で「創業は易し、守成は難し」というのがあります。日本経済新聞は蓄積された公開情報の膨大なデータ分析の結果、1983年に会社の寿命30年説を提唱しました。規模、成長力、収益性、安全性の4つの指標で数値化し、ランキング分析した結果、優良企業ともてはやされる花の時期はせいぜい30年だというのです。提唱後、30年が経過した2004年に再度検証した結果、やはり主張は間違っていなかったとレポートしています。
30年以上経過して、輝きを失っていない企業の特徴として、収益性の高い事業への選択と集中とグローバル化の推進による自己変革をあげています。

一方、帝国データバンクや東京商工リサーチは非上場も含めた全国の企業を対象に老舗企業の分析をしています。
統計によって数字は異なりますが、日本に100年企業は約20000社あり、毎年約2000社が仲間入りを果たしています。日本の会社数は統計の種類より、総務省の150万社〜、国税庁の280万社まで大きく異なりますが、一般的には国税庁の数字をもとにしています。
このうち、創業100年以上の企業数は19,500社で、200年以上が938社、300年以上は435社です。ちなみに世界最古の企業として有名な金剛組は578年の創業で、聖徳太子が百済から招いた専門家の一人が創業した会社ですが、残念ながら2006年に破産して、1430年の幕を閉じてしまいました。現存する世界最古の会社は山梨県の慶雲館という旅館になりそうです。

100年以上存続している企業に最も大事にしていることを漢字一文字で表現してもらったところ、回答の多かった順に並べると「信」「誠」「継」「心」「和」「真」「変」「新」「忍」「質」になったそうです。なんとも東洋的な価値観を示す文字が並んでいるではありませんか。目先の損得よりも、目に見える即物的なことよりも、目には見えないし、耳には聞こえないお客様や関係者の思いを読み取ることの大切さを改めて教えられた気がします。
これら企業に共通しているのは「おっとりしている」「ロングレンジの見方をしている」「常に原点回帰しつつ革新を継続する」「人をとにかく大事にする」考え方だそうです。

当社が10年前に京都の老舗企業をインタビューしてレポートにしたことがあります。そこでも同様の言葉が経営者の口から語られています。
事業承継するには、さまざまな側面を見ながら進めなければなりませんが、基本は「人」を大事にすることに尽きると思います。
2012.06.15:目加田博史

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