現代版「隠し砦の三悪人」―東京都議選、自民惨敗

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 正邪が織りなす、胸のすくような黒沢エンタメではない。“官邸”という名の現代版「隠し砦」に身をひそめているのは最近、とみに悪相が目立ってきた写真の三人組である。「マフィア化する政治」―。冷静沈着で理路整然とした論客と知られる長谷部恭男・早稲田大学教授(憲法)と杉田敦・法政大学教授(政治理論)が「1強多弱」の安倍晋三政権をついに「ギャング」呼ばわりする事態に立ち至った。まず、二人の対談(6月19日付「朝日新聞」)から―。

 杉田;「『共謀罪』法が、委員会採決を省くという奇手を使って成立しました。数の力で破壊することは許されないし、非常に危険です。『1強』なのに余裕がない。これが現政権の特徴です。軽々に強硬手段に訴える。圧倒的な議席数を有しているのだから、国会会期を延長して、見かけだけでも整えればいいし、都合の悪い文書が出てきても『怪文書』などとせず、調査中と言えばいいのに、恫喝(どうかつ)的な態度をとる。森友学園や加計学園をめぐる疑惑と重ね合わせて考えると、政治のあり方が、一種マフィア的になっているのでは。身内や仲間内でかばい合い、外部には恫喝的に対応する。米国やロシアの政治も同様です」

 長谷部;「公が私によって占拠されている。濃密な人間関係で強く結ばれた集団が、官僚機構や一部マスコミも縄張りにおさめ、社会一般に対して説明責任を果たそうともしないで権力を行使するとき、公権力は私物化され、個人間の私的な絆(きずな)をテコに政治が行われる。反対するやつは切り捨てればいいと。まさにむき出しのマフィア政治です。自分の頭でものを考えるか、為政者の言う通りにしておけば間違いないと考えるか。自分で考えて自分で判断する人は、右であれ左であれ、共謀罪は危ないと思うでしょうし、マフィア政治は良くないと考えるでしょう」

 6月15日に成立した、いわゆる共謀罪の趣旨を盛り込んだ「改正組織的犯罪処罰法」について、安倍政権は一貫して東京五輪・パラリンピックを控え、一日も早く「国際組織犯罪防止条約」(TOC条約)を締結し、テロを未然に防止する必要があると主張してきた。「テロ等準備罪」という通称を前面に押し出したのはこのためである。TOC条約は締結地であるイタリア・シチリア島の町にちなんで別名「パレルモ条約」とも呼ばれる。2000年11月、国連総会で採択されて以来、締約国は187の国と地域に及び、未締結は日本など11か国に止まる。

 TOC条約はマフィアによる暗殺事件がきっかけになって締結された。マフィア組織による犯罪の防止や犯罪集団への参加・共謀、犯罪収益の洗浄(マネ-・ロ-ンダリング)などへの対処措置などについて定めた国際条約で、「テロ」対策は最初から想定されていなかった。大方が首肯(しゅこう)するであろうテロの未然防止を口実に、犯罪を計画段階から処罰することを可能とし、処罰対象が一般人に無際限に拡大されかねない不安…。国民の各層に広がった「監視・密告」社会への漠たる予感を踏みにじるようにして、共謀罪法は成立した。

 黒沢明監督の代表作のひとつ「隠し砦の三悪人」(1958年公開)は戦国の乱世を描いた娯楽活劇である。一方、マフィアの抗争をテ-マにしたフランシス・コッポラ監督の大ヒット作「ゴットファ-ザ-」(1972年公開、米国映画)の舞台はシチリア島である。二つの作品に共通するのは何となくからっとした明るさであろうか。どちらのマフィア=悪人も憎めない。これにくらべて、”官邸砦”に巣食う現代のマフィアたちは陰に日向(ひなた)に何かを企んでいるようで油断ができない。つまり、限りなく陰湿である。長谷部教授はこうも述べている。

 「日本国憲法の理念は『どう生きるかは自分で判断する』。安倍政権はその理念を壊したいと思っている。自分でものを考える人間は、マフィアにとって面倒なだけですから」(同紙)―。元祖「パレルモ条約」はそもそも、マフィアを取り締まるのが目的だった。当然のことながら、自らがマフィアと化した安倍政権はそれが己(おのれ)の首を絞める条約だという逆説(究極の”ブラックジョーク”)に気が付くことはない。英国人作家、ジョ-ジ・オ-ウェルが描いた独裁国家「ビッグブラーザー」(菅、萩生田両正副官房長官)に君臨する「ゴットファ-ザ-」(安倍首相))が抱える最大のリスクはこの自意識の欠如である。

 本物のマフィアたちの恨み節があちこちから聞こえてくる。「君らほど悪くはないとマフィア言い」(6月20日付「朝日新聞」掲載の朝日川柳から)―。安倍晋三首相(自民党総裁)は都議選最終日の1日夕、東京・JR秋葉原駅前で初めての街頭での応援演説を行ったが、聴衆の間から一斉に「安倍辞めろ」「安倍帰れ」コ-ルが巻き起こった。強権を欲しいままにしてきたマフィア政治の前途にやっと、暗雲が立ち込めつつあるということか。「驕(おご)れる者は久しからず」(『平家物語』)……★東京都議選で自民党が歴史的敗北へ!!


(写真は“官邸砦”の動きは外部からはうかがい知れない。左から安倍首相、菅義偉官房長官、萩生田光一官房副長官=インタ-ネット上に公開の写真から)

2017.07.01:masuko:[身辺報告]

自民惨敗ー1

  • 自民惨敗ー1
東京都議選最終日の1日、安倍首相の応援演説に厳しいヤジが乱れ飛んだ。プラカードには国民の怒りがあふれていた=6月1日、東京都内のJR秋葉原駅前で。インターネット上に公開の写真から)
2017.07.02:[編集/削除]

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