断熱気密のお話
今回は、断熱気密のお話です。 しばしば、断熱と保温を混同している方がいますが、断熱材とは熱の移動を 遮断するもので、保温を助けるものではありません。 断熱という名前の通り、熱を遮断することができれば、一応断熱の役目は果た すことになります。だから断熱のための素材は雪でも氷でも何でも良いのです。 但し雪や氷の家では、壁の冷輻射で長期間の居住は無理です。 「イグルー」や「かまくら」は、断熱と気密効果の高い仮の住居空間ともいえ ますが、長期の生活は不可能です。熱は、空気(温度)と共に移動しますから 室内の熱を逃がさない為には、空気の移動を抑える必要があります。そこで断 熱とともに気密性能が重要になります。断熱が熱の流れを遮断することであれ ば、気密とは空気の流れを遮断することです。 簡単にいえば、断熱とは外気温に室温が影響されにくい性能です。従って断熱 と気密性能は、同じ目的を持つ一対のものと考える必要があり、どちらかが不 備でも快適に保つことは出来ないのです。 断熱材や気密材はどんな素材で造られているのでしょうか。基本的に断熱材は、 空気を閉じ込めて移動させにくい素材が選ばれます。空気は、温めにくく冷め にくい性質があり、断熱材の中に空気を閉じ込めて、移動させないことで断熱 性能が得られます。 氷や雪の家では、冷輻射で長期間は住めないとお話しましたが、快適性が求め られる住宅には、冷輻射を起こさない、断熱材が必要になります。昔の人々が 内部が中空のカヤやアシを住宅に使用したのは、素材の中に空気層のある植物 の快適性に気が付いていたからでしょう。
2017.04.16