『EB(エナジー・ベニフィット)とNEB(ノンエナジー・ベネフィット)』

  • 『EB(エナジー・ベニフィット)とNEB(ノンエナジー・ベネフィット)』

今回は、NEB(ノンエナジー・ベネフィット)について、考えてみます。(以前にも一部ご紹介した内容です)

地球温暖化防止のために化石燃料の大幅削減は、これからの地球に生きていく全ての人類にとって、大変重要な問題であることはご存知の通りです。

その為には、住宅の高性能化を推進していく必要があります。

今までは、化石燃料の消費を削減することにより経済的な恩恵が大きいと言うことで、その手段として取り組まれてきたのが住宅の高性能化なのですが、そのことによりエネルギー消費削減の他に素晴らしい副産物が潜んでいることが建築・住環境・医学等の各分野から公表されています。それがNEB(ノンエナジー・ベネフィット)という考え方だそうです。

ここでノンエナジー・ベネフィットについてお話致します。

まずは、エナジー・ベネフィットという言葉がございます。EB(エナジー・ベネフィット)とは、エネルギー削減による効用のことで住宅を高断熱化することにより、電気代が減ったなどと言ったことです。

ノンエナジー・ベネフィットとは、それ以外のことで例えば住宅を高断熱化することにより、健康性(手足の冷え・肌のかゆみ・アレルギー性・・・など健康面での改善効果)や快適性・遮音性など省エネルギー以外の効用のことだそうです。

省エネルギー化推進のため、そしてこれからの住環境を考える意味でもNEB(ノンエナジー・ベネフィット)の考え方は、非常に大事なことであると考えます。

それでは、NEB(ノンエナジー・ベネフィット)についての記事がございましたので、要約してご案内させて頂きます。

 

今までは、住宅の断熱・気密を向上させる目的として、暖房エネルギーが削減され省エネルギーに繋がるというEB(エナジー・ベネフィット)が強調されてきましたが、それは節電や地球温暖化防止などの社会貢献と共に建て主のメリットとなる光熱費の削減という金銭的なメリットが主に施主の説得材料として使われてきましたが、家全体を暖める連続暖房が主体の欧米に対して、間歇暖房が習慣の日本の暖房エネルギー消費量は3分の1~4分の1に過ぎず、高性能住宅にしても暖房エネルギーの削減金額だけでは、断熱強化分のコスト回収に長い年月がかかります。それに日本の場合は、暖房期間も欧米と比較すると短期間ですからその期間だけ、今まで通り寒い家でも厚着で乗り切れば「やがて暖かい春が来る」と言われると高断熱・高気密の話しもそこで立ち消えになってしまうといったEB(エナジー・ベネフィット)という視点だけでは、住宅の高性能化はなかなか進まないでしょう。

そこで、NEB(ノンエナジー・ベネフィット)の考え方を広めていくことが、非常に大事であると考えます。NEB(ノンエナジー・ベネフィット)は、EB以外に得られる効果に着目してEBとNEBの両輪で断熱・気密性向上の意義を語っていくことです。我が国の医療費が36兆円(2009年)で毎年1兆円ベースで増えている。その中には住環境に起因するものも多く、住宅の高断熱・高気密化はEBよりもNEB効果の方が大きいことが国交省の「健康維持増進住宅研究会」から報告されるようになって参りました。つまり我が国の住宅は、冷暖房経費を節約した分、医療費が増えるという温熱環境的には、最も不健康な住宅になっているということです。

NEBの効果は、住宅の断熱性能を上げると暖かい部屋から寒い廊下やトイレ・浴室に行ったときに起こるヒートショック(脳血管疾患・心臓病など)の危険性が低下し安全性が向上します。また住宅の快適性に関しても、断熱・気密性能を上げることで、遮音性も格段に向上し生活騒音の住宅からの出入を防止する防音効果も高くなります。さらに風邪の罹患率が低くなったり、気管支炎やアトピーが出にくくなったり、不眠が改善されたりという効果が認められたという調査・研究も発表され、高断熱・高気密住宅のNEBに対する一般消費者の関心が非常に高くなっています。

 

高断熱・高気密による住宅の高性能化は、省エネだけでなくNEB(ノンエネジー・ベネフィット)の効果により、快適で健康な住環境をつくりだしより長く維持する事を、可能にしてくれると私は考えます。

 

2017.10.22:m-seino:[清野 光芳/レポート集]

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