精神論がもたらす健康被害に要注意

こんな記事があったので、ご案内します。

 

今まで高断熱住宅を推進する目的は、省エネルギーにどれだけ効果があるかというEB(エナジー・ベネフィット)と言う視点から語られてきましたが、このような議論はドイツやイギリスなどと比較しても暖房費をそれほど使用してこなかった我が国では説得性が低く、住宅性能を比較してみても欧米では無暖房住宅やゼロ・エネルギー住宅が主流にもかかわらず、5000万戸の既存住宅の内、次世代省エネルギー基準の性能を満たす住宅ですら、その4%にも満たないことが指摘されています。

これは単に日本の住宅が性能的に劣っていると言うわけではなく、欧米のように高緯度に位置し寒さ対策の暖房が主で、冷房を必要としない地域とは全く異なることも計算に入れておかねばなりません。

兼好法師が徒然草で「家の造り様は夏を旨とする」と言ったのも、「底冷えのするような京都でも暖房さえすれば何とかなるが、蒸し暑さだけはどうしようも出来ない。だから夏の対策を第一にして造った方が良い。」と言うことから出来た言葉です。高断熱・高気密住宅の必要性を説くと必ず、子供達が寒さに耐性の無い軟弱な子に育つのではないかと心配する方がいますが、精神修養で真冬の海に飛び込んだり、滝に打たれるのは医者に言わせれば愚の骨頂で「百害あって一利無し」で、むしろ危険性きわまりないと言うことです。

成人の場合も脳卒中や心臓病の発症原因になりますし、子供も身体を冷やすことで様々な疾病の引き金を造ってしまいます。たくましく強く育てるためには、寒さという異常な負荷を与えるよりも適切な温度管理の下で、温度の負荷を与えず運動が出来る環境を与えた方がよほど元気な子供が育つはずです。

高気密・高断熱の取組が始まったころにも、よく聞いたことがありますが未だにこんな話があるのかと。まだまだ高断熱住宅の必要性はが浸透していないと感じます。

 

2017.09.10:m-seino:[清野 光芳/レポート集]

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