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高性能住宅の必要性(死亡原因と死亡場所の関係)その2

今回も住む人の健康守る為の住宅高性能化の必要性について
考えるです。

前回の続きで、死亡原因と死亡場所の関係についてです。


下記の表は、前回もご紹介した日本公衆衛生学会が「気象
条件・死亡場所が死亡原因に与える影響」と言う内容で調
査した結果です。



前回までのお話しは、
心疾患や脳血管疾患、溺死・溺死は、温度の低い冬期の死
亡率が高くなり、温度の高い夏期に少なくなること。そし
て病院での死亡率は低下していますが自宅での死亡率は、
減っていないこと(これは病院と自宅の夏の室内温度の管
理が影響している・・・)暑さを我慢することでも疾患を
悪化させていること などでした。

    
では、このデータで特に注目して頂きたいのは溺死・溺水
で、病院での死亡率よりも家庭の死亡率が圧倒的に高く、
しかも冬期の死亡率が夏期とは比較にならないほど高いこ
とです。

家庭での死亡率が高くなる原因は、入浴時の室内温度(ヒ
ートショック)が原因であることが考えられます。(入浴
時に寒い脱衣所で服を脱いで、風呂場に入った時点でヒー
トショックを起こし、風呂の中で転倒し溺死・溺水に繋が
っているケースです。)

心疾患・脳血管疾患・溺死・溺水の死亡率を軽減するには
ヒートショックを起こさせない快適な温熱環境を持った住
環境が重要です。

足を滑らすなど加齢による単純な原因も考えられますが、
夏期と冬期の極端な死亡率の差から類推できるのは、暖
房室と浴室・トイレ・廊下などの極端な温度差です。

健康を維持するためには、温度差の少ない住環境が必要
なことが判ります。
2015.02.28:m-seino:コメント(0):[清野 光芳/レポート集]

高性能住宅の必要性(死亡原因と死亡場所の関係)

今回も住む人の健康守る為、住宅高性能化の必要性について
考えるです。

今回は、死亡原因と死亡場所の関係についてです。

我が国は、世界一の長寿国となりましたが、医療費は36兆円弱
(2009年・・・ちょっと古い)でその後、年々1兆円規模で増え
続けています。

下記の表は、日本公衆衛生学会が「気象条件・死亡場所が死亡原
因に与える影響」と言う内容で調査した結果ですが、医療の進歩
した現在では、自宅よりも病院での死亡率の方が高くなっていま
すね。



死亡原因の比較では、新生物(主にガン)が高く寒暖や時間など
法則性がなく年間の月別の変化は有りません。
その他の心疾患、脳血管疾患、溺死、溺水は10月から増え始め
1月をピークとして、冬期間の死亡率が高くなっていますが、逆
に死亡率の減少は、6月~8月の夏期に集中しています。

要約すると心疾患や脳血管疾患、溺死・溺死は、温度の低い冬期
の死亡率が高くなり、温度の高い夏期に少なくなることが判りま
す。しかしよく見ると病院での死亡率は低下していますが、自宅
での死亡率は、減っているわけではありません。これは病院と自
宅の夏の室内温度の管理が影響していると思われます。

ヒートショックも問題ですが、暑さを我慢することでも疾患を悪
化させているのです。

住宅の温熱環境は夏の暑さも問題ですね・・・

今回はここまで次回もこの内容で考えます。
2015.02.21:m-seino:コメント(0):[清野 光芳/レポート集]

健康を阻害しない室温は、全室10℃以上が目安

毎日寒いですね~

では本題に入ります。

住宅の断熱施工が行われる理由は、省エネで理想的には、
住宅全体を均一な温度環境に近づけるところにあります。

【健康を阻害しない室温は、全室10℃以上が目安です。】

では、現状はどうでしょう。

断熱性能基準別に検討された資料がございますのでご紹介
いたします。


断熱水準と自然室温との関係です。
下の図は、同じ住宅モデルを用いて(1980年・省エネ基準
:等級2)、(1992年・新省エネ基準:等級3)、(1999年次
世代省エネ基準:等級4)、(1999年次世代省エネ基準:等
級4+α:2012年基準相当)の4種類の住宅の一日中暖房
していない部屋の温度を表したものです。



2012年基準相当の断熱性能が高い住宅ほど、終日温度が高
くなっていることが判ります。起床時間の6時の温度を比較
すると1980年基準の住宅と比べて、1999年基準の住宅は
4.7℃、2012年基準相当では6.7℃も高くなっています。

【ヒートショックの危険がある温度は、室温10℃以下から
リスクが高くなり増加していることが判っています。健康を
守るためには、トイレなどの無暖房室でも室温は、10℃以
下に差がないことが重要になります。】

1999年基準(次世代省エネ基準:等級4)は、健康を守る
ための最低限必要な温熱環境であることが判ります。

しかし現状では既存住宅5000万戸の内4%程度しか次世代
省エネ基準に達していないと言われています。ほとんどの
住宅が暖房設備が稼働していない状況では、10℃と言う健
康保全温度を満たすことはできません。

断熱性能が重要なのは暖房していない部屋の温度も低下さ
せない効果です。断熱性能が高い冬季間の窓からの日射熱
や人体、照明、家電からの熱も屋外に放熱されにくくする
からです。

我が国の省エネ基準もようやく、住宅が無暖房状態でも人
の命が守れる水準を実現できるレベルに達してきています。
・・・

安全・安心・健康のためにはトイレなどの無暖房の部屋でも
10℃(健康保全温度)以上の室温が確保できような断熱気密
性能を備えた高性能住宅が必要ですね。
2015.02.14:m-seino:コメント(0):[清野 光芳/レポート集]

高断熱住宅を推進するのはなぜ・・・その2

  • 高断熱住宅を推進するのはなぜ・・・その2
前回に続き高断熱住宅(住宅の高性能化)を推進するのはなぜ・・・
について考えます。


前回はEB(エナジーべネフィット)とNEB(ノンエナジーベネフィット)ついて
お話しいたしましたが、これからの住環境を考えるうえでNEB(ノンエナジ
ーベネフィット)の部分が非常に大事なことであることは確かです。

我が国では、主に省エネルギーと言う側面からの住宅の高性能化ですが
、欧米では、住環境が人体に与える影響についての考えから高性能で省
エネルギー性能に優れている住宅は、人を自然環境から守り特に気候が
関係する病気や成人病の発症に対する予防効果のあることが明らかにな
っております。

WHO(世界保健機構)からも住宅の温熱環境が健康を守るという側面
からNEB(ノンエナジーベネフィット)で温熱環境の快適な室内環境の
確保が重要だとの報告もされています。

住宅の高断熱化が遅れていた我が国でも、結露やヒートショックなどに
よる健康への悪影響が広く知られるようになり、快適な居住環境で健康
な暮らしを目指すための研究も進められています。


住宅が原因となる疾病を防ぐためにも住宅の高性能化が是非とも必要で
すね。

2015.02.07:m-seino:コメント(0):[清野 光芳/レポート集]

高断熱住宅を推進するのはなぜ・・・

  • 高断熱住宅を推進するのはなぜ・・・
今回は、高断熱住宅(住宅の高性能化)を推進するのはなぜ・・・について考えます。


地球温暖化防止のために、化石燃料の大幅な削減は、これからの地球に生きていく全ての
人類にとって大変重要な問題であることは、ご存じの通りです。
(ちょっと大きなお話しですが。)
そのためには、住宅の高性能化を推進していく必要性があります。



今までは、化石燃料の消費を削減することにより経済的な恩恵が大きいと言うことでその
手段として取り組まれてきたのが住宅の高性能化なのですが、そのことによりエネルギー
消費の削減のほかに素晴しい副産物が潜んでいることが建築・住環境・医学等の各分野から
公表されています。それがNEB(ノンエナジーベネフィット)という考え方だそうです。



ここでノンエナジーベネフィット(何やら難しそうですが)についてお話しいたします。

まずは、エナジーベネフィットという言葉がございます。
EB(エナジーベネフィット)とは、エネルギー削減による効用のことで住宅を高断熱化する
ことにより電気代が減ったなどと言ったことです。

ノンエナジーベネフィットとは、それ以外のことで例えば住宅を高断熱化することにより
健康性(手足の冷え・肌のかゆみ・アレルギー性・・・など健康面での改善効果)や快適性
・遮音性など省エネルギー以外の効用のことだそうです。

なかなかわかりずらいのですがここが大事です。



と言うことで長くなりそうなので今回は、ここまで。
次回につづくです・・・
2015.01.31:m-seino:コメント(0):[清野 光芳/レポート集]