いつまでも強い住まいにするには

  • いつまでも強い住まいにするには
改めて言うまでもなく、木の魅力は様々ありますが、反面デメリットも当然ございます。

私が日頃から感じている木の大きなデメリットは、2つあります。

それは、木の収縮による痩せや狂い・割れなどから生じる寸法の変化や強度の低下です。

ただこうした問題は、乾燥技術の発達や集成材などの品質向上によって、ある程度は抑えられる問題でもあります。

しかしながら、どうしても障害となるのが、日本の高温多湿という気候風土がもたらす湿気や、冷暖房によって、室内外の温度差が生じることで、必然的に発生する結露の問題です。

たかが結露という認識を持つ方もまだまだ多いのですが、ガラス面などの表面結露は、とりあえず拭けばいいのですが、目に見えない床下や壁・小屋裏に発生する内部結露は、断熱材を濡らし、性能の劣化を招くのと同時に、構造に確実にダメージをもたらし、結果的に、日本の住宅を短命にしているということを正しく理解している方が非常に少ないのです。



木は、正倉院や法隆寺の例を挙げるまでもなく、乾燥状態を保てば高耐久な素材です。

しかし、湿気つまり水には弱く、現代の住宅の様に、断熱材と共に、躯体内に閉じ込められた木材は、湿気や結露によって、腐朽菌による腐食やシロアリによる食害を受ける危険性が高まり、築30年も持たずに、住み心地のみならず資産価値も失われ、空き家が増加したり、建替えを余儀なくされているのが現実なのです。

現在、木造住宅を長寿命にする為に採用されているのが、室内の水蒸気が壁体内への侵入を防ぐ防湿フイルムによる高気密化と薬剤を注入した防腐木材や木部への薬剤の塗付ですが、薬剤の効力が何年なのか、健康被害はないのかなどは、正直検証されていないのが現状です。

ソーラーサーキットの家では、外断熱と二重通気によって、寒さや暑さ・湿気を構造の外側で遮断し、かつ壁体内にも通気性を確保することで、常に空気に木材を触れさせ乾燥状態を保つ独自のシステムです。



断熱性と通気性という相反する性能を合わせ持ったソーラーサーキットの家づくりは、日本の気候風土を考慮した非常に理にかなった工法で、木造住宅を防蟻剤や防腐剤に頼ることなく、次の世代に価値ある資産として引き継げる長寿命の住まいです。


2017.10.08:m-kuma:[熊谷 昌則/レポート集]

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