観光農業のカリスマ 工藤順一
▼宮城県利府町「観光ワークショップ講演会」
平成19年3月27日(火)於:宮城県利府町役場 町民交流館、「観光ワークショップ講演会」が開催され行って参りました。これは、平成17年度、私の事務所で受託した「利府町観光振興体制づくり支援事業」の中で、ワークショップグループが提案した事業の実績をご報告頂きその検証を行うための会と位置付けて行われたものです。さらに、平成19年度に向けての利府町の観光のあり方、進め方について意見交換を行いました。町民及び関係機関の方々、約50名が参加されました。
講演は「山形県デスティネーションキャンペーンの取組み」と題して私がお話ししています。平成20年10月〜12月に宮城県が発のデスティネーションキャンペーンを敢行することになったことを受けて、そもそもデスティネーションキャンペーンとは何かといった、その目的や内容、キャンペーンの歴史、開催県、推進体制、その効果、成功の鍵について説明しています。ちなみに、山形では既に過去5回キャンペーンが実施されています。
<観光ワークショップ報告>
●梨グループ
昨年度のプレゼンテーションでの発表通り、春(5月3日):梨の花見と花粉交配体験、夏(7月2日):摘果作業体験、秋(9月10日):梨のもぎとり体験、冬(12月10日):梨の剪定と肥料入れ体験、などのイベントが開催され昼食や遊びなども付加されており、実施するにあたってとても創意工夫がなされていました。延べ人数にして146人(大人:88人、小人:58人)が参加されていました。
参加者は一様に「畑を見てみたい、体験したい」という思いが強く、梨畑自体が新鮮であったとのことです。今後も無理なく継続していって、利府梨のファンを増やしていきたいとのコメントがありました。
●海・島グループ
「親子で楽しむ島巡り・かき収穫体験」(12月3日)は漁業関係者を中心に主催し、37人(大人:17人、小人:20人)が参加されていました。内容としては、貸切観光船で湾内をクルージングしてかき養殖棚の見学、かきの殻むき体験、その後にかき、ホタテ焼きや海鮮汁を食べるというもの。
実際に行ってみて、いまの現状としては漁業関係者も高齢化しており後継者の問題やイベントを行うにあたりボランティアの確保など、現状の把握が必要であること。そして他グループとの連携や、広報での協力も必要となることが提示されました。今後は、通年の直売所運営や小さい貝の利活用(加工品等)を行っていきたいとのコメントがありました。
●加瀬沼グループ
3回のイベントを実施。全体で参加人数は約1920人でした。
@「加瀬沼公園DEボンネットバス」新幹線車両基地まつりと同時開催(7月29日)では、ボンネットバス無料乗車体験、ミニSLコーナー、地場産品の販売が行われました。新幹線車両基地まつりには、既に20000人の誘客をしていることから、その連携事業として行ったイベント。
A「凧つくり体験と白鳥観察会」(12月9日)では、ダイヤモンド凧つくり、ぐにゃぐにゃ凧つくり、凧あげ大会、白鳥の絵付け体験を行い、昼食には豚汁とおにぎりが提供されました。12月初旬の実施ということで、正月に絡めるともっと集客できたかもしれないという反省がでておりました。
B「加瀬沼白鳥ふれいあいまつり」加瀬沼町内会と協同開催(2月11日)では、餅つき体験、白鳥の餌付け、清掃活動を行い、昼食には餅が供されました。
実施しての感想としては、ワークショップメンバーだけではなかなか実働することが難しく、理想としては加瀬沼公園を取り巻く町内会が中心になりそのサポートをしていくことが求められるといった意見がでておりました。
●ウォーキンググループ
「第1回利府町健康ウォークを楽しむ会」(10月1日)では102人が参加して行われました。利府太鼓で開会し、岩切城等の史跡名勝地14箇所をボランティアガイド付きでウォーキングし、グランディ21で昼食をとり最後には梨園で買い物をしてもらうといった内容でした。また、この事業以外でも台湾からの観光客を秋に誘客し成功した事例も紹介されました。
このグループでは、@町民の観光に対する関心度UP、A町外からの誘客、B梨園等を利活用して外国人観光客の誘客、C利府町の知名度UP、D観光と物産の振興拡大、を目標に今後も活動を実施していくとの心強い提案も行っています。平成19年度中には、JR企画「駅長さんと歩く小さな旅」も実現すべく提案が進んでいますし、その中には町の資源である「梨」や「ボンネットバス」、「加瀬沼の冬景色」や「白鳥の観察会」、「かき料理の提供」なども組み込みたいとのこと。そして、外国はもちろん学生の修学旅行客の誘客を目指してハード・ソフト整備を行っていきたいといった意見も出されました。
私をはじめ事務所スタッフも、今回の事業報告を聞いて大変感激いたしました。各グループがそれぞれに確実に着実に利府町の観光資源を発見し生かして動き出しておりました。官民一体となった取組みにより、観光メニューが具現化していく様子は大変嬉しいものでした。今後も歩みを留めることなく一歩一歩形作られることを祈念しておりますし、私も協力していきたいと考えております。今後の利府町に注目していきたいと思います。
2007.03.31:観光カリスマ/工藤順一
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