観光農業のカリスマ 工藤順一

▼西和賀町で講演して参りました。

平成17年9月6日(火)午後1時30分〜 於:岩手県湯田町 ゆだ文化創造館「銀河ホール」で「西和賀町の未来を語るシンポジウム」が開催されました。
西和賀町は、今年11月に湯田町と沢内村が合併することにより誕生する新しい町ですが、その町の未来を住民のみなさんと考えるシンポジウムの講師としてこの度お招き頂いたものです。当日は150名の参加があり大変盛会でありました。
第1部の講演のテーマは、「発想の転換が時代を切り開く」、第2部では「自立と連携による産業振興を考える」と題したパネルディスカッションも行われ私はアドバイザーとして再び登場いたしております。

西和賀町を少しご紹介しますが、総面積590.78㎢で南北約50q、東西約20qの広がりがあります。北上市の中心地から35q車で約50分、横手市の中心地から28q車で約40分に位置し、代表的な温泉「湯本」「湯川」を配する両市の奥座敷であり、湯治場としての役割を担っています。自然環境も豊かで滝が多く点在し山菜や山野草の宝庫でもあります。国の重要有形民俗文化財に指定されている「マタギ狩猟用具」や「雪国生活用具」などを含めた5つの展示館を有する碧祥寺(へきしょうじ)博物館には、歴史的にも文化的にも価値ある収蔵品がたくさんあります。

今回の講演の前にも、毎回私が行っていることですが西和賀町を実際に目で耳で肌で感じるためにリサーチを行いました。方法はいたって単純なものですが、住んでいる人、施設を訪ねそこで働いている人、その施設を訪れている人に直接声をかけ、町の特色や魅力、自慢できることなどをお聞きします。どこの地域でもそうですが、自分の地域のことは案外知らないことが多かったり、気づかずにいるものです。そういったリサーチを通して、外から見る素材の宝庫を今後生かすのか、そのままあきらめるのか、自立自活するための意欲や熱意、頑張りがあるのか、またお客様に対する感謝、笑顔といった思いやりが感じられるか等々、実際に私が体感します。
この自分の五感をフルに使うという作業が、実に重要なことだと思っています。
そしてそのリサーチを行った上で、私がこれまで取り組んできた体験、体感、実感の実話を交えて講演申し上げました。
今回は、観光農業に着手する以前の寒河江市の現状やその当時の時代背景を説明し、なぜその時に「観光」だったのかを分かり易く解説しました。そして実際に始めてみて体験した数々のエピソード(苦労した話はもちろん、うまくいった話)をちりばめ、自分の実感から見出した下記のキーワードをご披露しました。

今回の講演のキーワード

@体を使って、五感を働かせて(恵まれた知恵ではなく)智慧を出す
A官民一体になって取り組む その役割とは?
  行政 → 信用
  商工会、観光協会 → 指導
  農協 → 指導、資金
  旅館、ホテル、飲食店、商店、観光施設 → 受け皿
B異業種とのネットワーク構築
  情報交換と連携
C地域住民の意識改革・発想の転換
  困難を乗り越えるためには多角的な視野が必要
D人との出会い(であい)が感動を生む
  で…でたらめ、あ…あきらめ、い…いいかげん ではだめ
E出来ること、小さなことから始める
  初めから無理をすると続かない
F元氣の「氣」は米が源
  決断と実行には元氣が必要である
G面白い、売れる、儲からないと、意欲があっても後継者は育たない
H案内の掲示板、標識がないと、一時滞在ではなく通過型になる

また、具体的な営業戦略(誘客・集客・広報等)や異業種ネットワークの構築の仕方もお話しすることで、西和賀町の今後の観光事業にお役に立てばと思いご紹介しています。

そして、今回の講演で私が最も強調したことにリーダー的人材の育成を掲げました。人こそが宝です。(人材→人財)そしてこのリーダーを守り育てる際には、内外からの圧力から守る「楯」になる存在も不可欠です。これは正しく私自身が体験してきた事実からお話しました。

新しい町の誕生にあたり、既存の貴重なる観光資源に目を向けながらも新しい発想で観光事業に取り組まれることを祈念しております。


2005.09.10:観光カリスマ/工藤順一

HOME

Poward by Stepup Communications Co.,LTD.

powered by samidare