かわにしツーリズム研究会
▼ゲストは何をして過ごしているのか
今回の研修では残念ながら一般の客と同宿する機会が少なく、どのような客が農家民宿を利用しているのかを細かく知ることはほとんどできなかった。ただ、唯一同宿した50歳代と思われる英国人夫妻とは朝食時に多少話をすることができた。表情豊かでユーモアのあるご主人ととても知的な雰囲気の奥様のカップルである。
彼らと同宿したのは10月24日(月)25日(火)の2泊である。彼らはロンドンから200`ほど離れた農家民宿に車(三菱グランディス)で来ていた。26日朝の話だと、25日は朝食後、近くののフットパス(遊歩道)を10マイル(約16q)ほど歩いたという。ご主人は妻につれられて、10マイルも歩いてきたんだ、という雰囲気であったが、奥様は涼しい顔をしていた。26日も別のフットパスを歩くといって、目的地に向け颯爽と車を走らせていった。
また、先述したように、この夫妻は、宿の食事には期待していないことは明らかである。このような様子から、彼らには目的とするフットパスがあり、そこを歩くために宿を決めたのでは、と想像ができた。私には、事前の情報とあわせ典型的な農家民宿の利用者のように思えた。
この事前の情報というのは、農村地帯のフットパスについてである。英国の都市部で生活する人の多くにとって、月に数度、地方の農村地帯にでかけてフットパスを歩くことは、大きな楽しみとなっているという。実際、私たちはあちこちでフットパスを見つけることができた。これらのフットパスは、広大な農場を縫って続いているが、途中にとりたてて特別な見どころがあるわけでもないようである。農村をゆったりと歩くことそのものに価値が見出されているのである。
これらのフットパスについては、都市部の書店でも全国のフットパス情報を集めた本が手に入るし、日本でいえば国土地理院の発行するような5万分の1の地形図にも記載がある。地方では、各地のインフォメーションセンターに行けば、フットパス情報のコーナーが設けられ、地元で作成したより詳しい地図が安価(数十円)で販売されている。フットパスを歩くことは農村地帯で最もポピュラーなアクティビティといえよう。
他のアクティビティについては、全容を知るすべを持たなかった。ただ各民宿に備えられているパンフレット類を概観すると、情報としては、名所旧跡やオープンガーデンの情報が多く、そのほかに乗馬やサイクリングなどの情報を見つけることができた。日本のグリーンツーリズムで想像することの多い、農村体験などの情報は、若干の酪農の体験などをのぞき、ほとんど見つけることができなかった。
(写真は各地にあるフットパスのサイン)
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●2006.01.19
●saito
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