Planning agency kaori

▼今年で十代最後の年です。

劇団楽天夢座、来年ハタチを迎えます。


 子どもの頃の病気が再発したことをきっかけに、東京から帰省したきた私は、山形で約1年ほど療養生活を送ることになりました。都会の生活はたった4年足らずでしたが、当時下北沢にある本田劇場を連日満席にする人気の劇団でアルバイトをし、また何時になっても眠らない街の生活に慣れていた私にとって、夜8時を過ぎると人がいなくなる七日町はあまりにもさみしいものでした。どこで遊んでいいものやら、身体が回復するにつれ時間を持てあますようになったのです。そんな時、高校時代を共に演劇部で過ごした仲間が帰省し、遊び場欲しさに「劇団でもつくる・・・?」となったのが旗揚げのきっかけです。


自分たちができることといえば演劇。それしか思い浮かばなかったとはいえ、たった4人でまったくゼロからのスタート。稽古場は?台本は?っていうか4人じゃバンドじゃん。もっと人がいる!友人たちに声をかけ、新しい劇団を作るというウワサを聞きつけ参加してくれたメンバーなど、なんとか14名が集まりました。音響、照明、舞台美術、小道具、メイク、衣裳と、それぞれのスタッフをかけもちしながらプランを練り、チラシづくりや印刷屋さんへの手配、ポスターを貼ってもらうためのお店巡り、その合間(?)に台詞を覚えて稽古をし、約1年後の11月、オリジナル作品「ホワイトノイズの聞こえる夜」を上演したのです。


 幕が開く直前の緊張感。始まってしまえばあっという間に時間が過ぎ、何ヶ月もかけて作り上げてきたものが、たった1回の舞台でまばゆい照明の中に溶けしまう感覚。ひたすら本番に向かって進んできた毎日が今日で終わる、ああ、もっとこうすればよかった、失敗しちゃった。でも自分なりにがんばれた。100%の達成感や満足感とは少し違う、どこかせつない気持ちの余韻。


 次は何をする?を繰り返しながら、劇団楽天夢座は来年で20年目を迎えます。23歳から副座長としてかかわり、多くのことを学ばせてもらいました。年齢を重ねるにつれ、同世代のメンバーは職場での仕事、出産、育児といった社会的に大切な役割を果たす時期を迎えるようになり、一方で若いメンバーの意欲は大きなものです。さまざまなハードルを前に、アマチュア劇団として運営することのむずかしさを感じることは度々あります。


 個性と個性がぶつかり合う劇団という組織が、これまで続いてきたのはなぜだろう。突き詰めていけば「みんな芝居が好き」という1点につきるのでしょうけど、ここには別の何かがあるのだろうと思うのです。たぶん面倒くさいほど絡み合う、濃密な時間や空間のパワーなのかもしれません。日常からの大きな開放と刺激的なスパイスが入り交じる、不思議な居場所。この心地よさを知っているメンバーが、継続していく工夫をしてきたからこそ、ここまで来ることができたのだなと、19年間を振り返って思うのでした。



[画像]vigoの番組にお知らせに来た、うちのむすめとむすこです(^^)

●2007.08.23
●kaori
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