鴨が葱を背負って来る
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白い提灯を下げた捜索の村人の一人が
夜明に近い頃、蝋燭のたってしまった白い提灯を下げた捜索の村人の一人が、蒼い顔をして報告を持って来た。幸子が断崖の下の岩蔭に落ちて死んでいると云うのである。
別荘の人々は狼狽した。肝心な旻は殊の外重態でそんなことを耳に入れるのさえ非常に危ぶまれたし、年のゆかない女中や看護婦ばかりで、全く途方に暮れた。
先ず晃一に知らせてやらなければならないのだが、併し恰度その日は晃一が来る日で電報を打ったところで行き違いになる迄のことだと云うので見合せられた。
検屍は朝の中に済んだ。幸子の死体は、別荘から三町と隔てない崖の真下に、半ば干き潮になりかけた海水に漬りながら横たわっていた。前額(ひたい)と胸とを鋭い岩角に打ちつけて、それが致命傷らしかった。
ひどく申訳のないような顔をして:鴨が葱を背負って来る
2012.04.01:
kamo
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