鴨が葱を背負って来る

鴨が葱を背負って来る
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 上天気が続いて日毎に晴々とした青空の色が深くなって行った。海は一番はるかな島影もはっきりと浮かせて、湖のように静かであった。
 旻の病気は鳥渡もち直したかたちであった。
 その日の午後、旻は久し振りで、陽の一っぱいに当っている縁先の籐の寝椅子に出て見た。
 幸子は庭に降りて、誰も構うものがないので、延び放題に延びてたおれかけたコスモスの群れをいくつにもまとめて紐で縛りつけていた。
 ――おかしな花だよ。たっていられない程なら、こんなに背を高くしなくたって、よかりそうなものだわねえ。」
 ――僕も手伝ってやろうか。」
 ――お止しなさい。あんたの方がコスモスより、よっぽどヒョロヒョロのくせに。」
 旻は、支那服のような派手なパジャマを着てしゃがんでいる幸子の肩から襟のあたりにこっそりと目を送った。
ひどく申訳のないような顔をして:鴨が葱を背負って来る
2012.04.01:kamo:count(335):[メモ/コンテンツ]
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