菅野芳秀のブログ
▼土を喰う話・ちょっと変えて・・。
「僕のニワトリは空を飛ぶ」の24話に同じ題名の文章がありますが、今回は本筋は一緒ですが、中味はちょっとだけ変えています。以前のものを読まれていない方はどうぞお読み下さい。前のものは読んだよという方は、新しいものはもう少しすればでますので、おまちください。
<土を喰う話>
我が家には約1、000羽のニワトリたちがいる。彼らは四面金網の開放鶏舎で暮らしているが、ローテーションに従って三日に一度は外にでる。
外では太陽の陽射しを受けながらのんびりと羽を伸ばし、かけっこをしたり、虫を追いかけたり、草を食べたりして暮らす。時には柵を乗り越え、畑の方にも入り込んできて自給の野菜を食べつくしてしまうこともあるが、ま、愛嬌だ。そんな彼らのくらしを眺めていると、私の気持ちものびやかに解きほぐされていくように思える。
ニワトリ達は土が大好きだ。鶏舎の外に出されたときは例外なく土をついばむ。砂浴びといって、パッパッと土を全身にかける。ニワトリのくらしそのものが土と一体だ。
ところで土と一体であるという点では、作物もそれを食べている人間も一緒だ。
作物は言うまでもなく土の産物であり、よってその育った場所の土の影響を全面的に受ける。私がそういうのは、必ずしもかつて理科で習ったようなことについてだけではない。
以前、山形県でキュウリの中からおよそ40年前に使用禁止となった農薬の成分が出て問題になったことがあった。40年経っても土の中に分解されずにあったのだろう。そこにキュウリの苗が植えられて、実がつきふくらんで、汚染されたキュウリができたというわけだ。お米からカドニュウムがでたこともある。
作物が土の中から吸収するものは養分、水分だけではない。良いものも悪いものも、可能なもののすべてを吸い込み、実や葉に蓄える。
土を喰う。そう、私たちは作物を食べながら、その育った所の土を喰っているといえる。
スイカを食べながらスイカの、かぼちゃを食べながらかぼちゃの・・・それらの味と香りにのせて、周辺の土を食っているというわけだ。
汚染を土から吸収した作物は、洗ったって、皮をむいたってどうなるものではない。何しろ身ぐるみ、丸ごとなんだから。
作物を通して私たちは密接不可分に土と結びついている。私たちの身体は土から組み立てられ、土から食べ物をいただき・・さながら土の化身だ。どんな動物も、植物も汚染された土を喰っては生きられない。
食を問うなら土から問え。いのちを語るなら土から語れ。健康を願うなら土から正そう。そしてくらしはきれいな土の上に、である。生きて行くおおもとに土がある。
そうゆうことだと思うのだが、どんなもんだべ?ご同輩。
画像 (小 中 大)
2007.08.03:kakinotane
[2007.08.19]
信じられないけど (麒麟)
[2007.08.19]
にわかには・・ (菅野芳秀)
[2007.08.17]
中国のすごい話 (麒麟)
[2007.08.10]
実際、何を食べているのやら。 (クミコ)
⇒HOME
(C)kakinotane
powered by samidare