菅野芳秀のブログ

▼第9回・ぼくの断食(05,2,28)


 第4回の「にわとりの断食」を覚えておいでだろうか?最後にこう書いている。「若返るためだとはいえ、ニワトリ達に断食をしいてきたこの僕は、当然のことながらそのつらさを一度体験しなければなるまいと考えている」と。
 多くの方はこれを、きっと言葉だけのことと思っていたと思う。やったのですよ。それに近いことを。それもニワトリ達と同じ2週間。ねらいは、50代後半に向かっての「からだのギア・チェンジ」。

 彼らと違うのは 一日に必要なビタミン、ミネラルを錠剤でとり、プロテイン(タンパク)は牛乳瓶1・5本分ほどの水に溶かして飲むというところ。三度の食事はそれだけで、あとは水かお茶。それ以外は一切の食べ物、飲み物を口にせず、カロリーを遮断する。
  どこかの「道場」か病院に入り、世間から隔離されてということならよく聞く。でも食べ物に囲まれた自分の家でというのは果たしてできるだろうか。こんな不安があったが・・・やれたのですねぇ。

 食事を取らないようになってからの3、4日間が一番つらかった。そのつらさが、日を負うごとにどんどん増していくだろうと思っていたら、そうではなく、ちょうど朝食と昼食抜いた午後3時頃の空腹感がずーっと続くだけ。これはちょっとした発見だった。
  当然のことながら、頭から食べ物が離れない。食事時になれば家族は僕に関わらず食卓をかこむわけで、家の中のどこにいても魚を焼いたり、うどんのだしをとるなどのいい匂いが漂ってくる。あらゆる所から食べたい気持ちが刺激される。

ところが、5日目ぐらいになると少し感じが変わってくる。たぶん、空腹に慣れ、余裕のようなものができてくからだろう。家族の食卓のすぐそばにいても、ゆっくりと新聞が読めるようになった。おもしろいのは、自分の身体の主人公は自分の意志であるという満足感がうまれてきたことだ。

意志が「止めとけよ」といっても、「もう一杯」、あるいは「もう一つ」というように、身体の方が言うことを聞かないということがよくあった。ところがこの頃になると、自分の意志が身体を完全にコントロールしているという充実感、何かすがすがしい自信のようなものが生まれてくる。これは新鮮な体験だった。
14日間を通して雪下ろしや、ニワトリ達へのエサやりはいつもどおりにできた。カロリー以外はきちんととっていたからだろう。少し動作がゆっくりとなったり、時にはふらつきもしたけどね。

友人達にはふざけて「志(こころざし)と体形の格差を埋めるため」と説明していたけど、確かに身体は軽くはなったから、その点での成果はあったと思う。体脂肪率も10%ほど落ちた。

病院で腎臓、肝臓、コレステロールなどの数値がどう変わったかを調べてみたら、全てにわたって改善されていて、医者は「驚きですねぇ」と信じがたい顔をしていた。なるほど、これがニワトリにとっての断食効果か。僕もなんとなく若返ったような気がしないでもない。でも、頭髪は薄いまま。彼らのように若毛が生えてきたりはしなかったよ。


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2006.04.16:kakinotane
[2011.02.20]
ダイエットは難しい??? (くみ)

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