菅野芳秀のブログ

▼第4回・ニワトリたちの断食(04,12,22)


ニワトリたちは玉子を産み始めて一年ぐらいすると少々くたびれてくる。産む玉子は大きくなり、そのぶん水っぽくなる。産卵率がガクッと落ちる。体を覆う羽もみずみずしさを失い、少し歳をとったかなという感じになる。たくさん玉子を産んでくれたのだからしょうがないけど。

そんな時に行うのが「強制換羽」という名の「断食」だ。これは「自然」ではない。でもこれによってニワトリたちは見事に変わる。玉子を産み始めたばかりの若どりと比べても区別がつかないほどに若返るのだ。およそ13日から14日間エサをきる。ニワトリたちには常日頃いかにお世話になっていたとしても、ここは情け容赦なく行わなければならない。

断食はつらい。10日目ぐらいからフラフラするものもでてくる。ニワトリたちにとっては何のためにエサを与えられないのか、しかもこの苦しさがいつまで続くのかも分からないはずで、不安といえばとてつもなく不安だろう。

鶏舎の中に入っていくと「私たち、なんか悪いことした?」という目で僕を見つめる。僕だってつらいのだ。191センチ、96キロの僕は、食事を一食抜くだけでも大騒ぎするぐらいなのだから、二週間の断食は気が遠くなるぐらいのつらさだろうと・・・考えただけでもいやになる。

そして断食があける。人間で言えば「おかゆ」のようなものから少しずつ与えていくのだが、想像できるでしょう?ニワトリたちがエサに飛びつく様子。エサをもらえないという苦しさも、エサを与えないというつらさもこれで終わりだ。

食べ始めてから4、5日もすると一斉に「換羽」が始まる。ニワトリたちの古い羽が抜け出し、若々しくみずみずしいものと交代する。姿かたちはまったくの若どりになっていくのだ。それだけではない。やがて産み出す玉子も若鶏と違わないプリンとしたものに変わっていく。ニワトリたちの体の中で何が起こっているのだろう。

「老化」、「働きすぎからくる疲れ」、あるいは「容姿の衰え」→「断食」→「若返り」。ニワトリたちのたどった過程はこういうことだ。
再び溌剌として遊びまわるトリたちを見ていると、これって人間でもできないだろうか、いけるかもしれないと思う。

そのこととは別に、若返るためとはいえ、ニワトリたちに断食を強いてきたこの僕は、当然のことながらそのつらさを一度体験しなければなるまいと考えている。



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