菅野芳秀のブログ

▼旬の人参

朝はいつも人参を搾ったジュースを飲んでいる。それが私の朝飯だ。
一回に搾る量は人参500gほど。それが200ccほどのジュースになる。
昨年の12月からはじめているので、計算上では約100kgを越える人参を飲んだことになろうか。
 周りの人によく人参ジュースだけで農作業ができるよなぁと言われるが、慣れればどおってことはない。
人参を続けてくれているのは千葉の二人の友人で、二人とも無農薬の野菜栽培を手がけて数十年になるベテラン農家だ。作物を食べることは土を食べること。そう思っている私にとって、こだわるのは人参の形状ではなくその中身。つまりは土と育てられ方だ。その点ではまったく問題はない。送られてくるのは大きくて実の割れたもの、傷のついたもの、小さなものなどさまざまで商品にならないものばかり。どうせジュースにするのだからそれで充分だ。
この人参ジュースがおいしい。人参の独特の風味とコク、それに果物のような甘さ。ジュースとしても充分に満足できる。毎朝、うまい、うまい・・・と飲んでいた。
その味が突然変わったのは5月の半ばごろのことだ。
田植えのあたりを境に、昨年の秋冬のものから春撒きの新人参に変わったことで、味が一変した。ジュースにまったく手ごたえがない。例えていうなら、水を半分混ぜたのではないかと思えるような・・、薄くてコクがない。材料の人参も量を増さなければ200ccはできなかった。きっと栄養価もうんと減っているに違いない。どうしたのかと思って、友人に電話したところ、
「春の人参はそのようなものなんだ。晩秋の霜、冬の寒さにあたったもののようにはならない。」ということだった。
そうか。いつもあるようでいて、人参の旬はやっぱり晩秋なんだ。それにしても旬の力は抜きん出ている。驚きだった。このことは人参だけでなく全ての野菜にいえることに違いない。やっぱり食は旬だよ。
ところで、寒さ、冷たさを経なければおいしくなれない、コクが出ないというあたりは、俺たち人間とどこか似ていますね。

   写真は一回の量です。

 




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