菅野芳秀のブログ

▼キツネ再来

キツネを捕まえた。これで二匹目だ(バックナンバー2009年5月21日「キツネがきた」)。
昨年の秋のことだ。
「ちょっと来て。キツネがかかっている。」
朝、息子が息せき切って呼びにきた。
「なに!本当か!」
鶏舎に走った。

 今までずいぶん被害にあった。今年だけでも4度。被害数は180羽にも及ぶ。彼らに襲われた後の鶏舎に行けば、足が震え、思わず叫び声が出る。鶏舎の内外に数十羽の鶏のみじめな死骸が横たわっているのだ。「・・・どうして・・」
どうしてこれほどまでに・・。ライオンだって、必要以外の獲物は殺さないと聞く。一度にこんなにたくさんの鶏たちを食べられるはずがないのに。殺すこと自体が目的なのか。あまりにも残虐な・・・。一羽だけを襲うタヌキがかわいく思える。やられた鶏の多くはようやく玉子を産み出したばかりの若鶏だった。すべて集めても1000羽ほどの小さな自然養鶏。経営的にも大きな痛手となっていた。

 キツネは金網を食い破って侵入してくる。補強するー侵入するー補強するー侵入する・・・のくり返しだった。もう大丈夫だろうと思っても、予想を超えたところから侵入してくるのだ。キツネは残虐だ、あるいは狡猾だ、頭がいい・・・などという民話上の話には根拠があった。我が家が経験したようなことを昔からたくさんの人達が経験しながらこの国のキツネ観が出来上がってきたのに違いない。

 罠には小ぶりの痩せたキツネがかかっていた。俺の顔を見て逃げ出そうとするも、足ががっちりと挟まれていて動けない。
「そうか、腹へっていたのか。だけど許してやるわけにはいかない。」
わが農園は、自然との共生を謳っている。だけどそれにも限度がある。その線引きはお前と相談して決めたわけではないが、お前を放してやれば、更に数十羽のニワトリ達が殺されかねないのだから。

 キツネよ。朝日連峰に棲むお前達には、昔からお前達にふさわしい食べ物があるだろう。ニワトリはお前達の食文化の外にあったはずだ。俺にしたってお前達を捕まえたくはない。キツネとのあれやこれやは民話の世界で充分だ。もう来るなよな。

写真をダブルクリックすれば大きくなります。キツネの眼にご注目!

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