菅野芳秀のブログ
▼芸能プロダクション
朝霧が立ち込めるようになった。
我が家の前に広がる800hの水田は日々緑から黄色に変化している。
壮大な景色の移り変わり。もうじき稲刈りだ。
ずいぶん留守にしてしまいました。
みなさん、お変わりありませんでしたか?
あわただしく過ごしていまして、なかなかパソコンに向かう時間がありませんでした。
そんな中にもえっと思うことがありましたよ。
一ヶ月ほどまえのこと、携帯電話をみたら「03-0000-0000」の着信暦がありました。
「先ほどお電話いただきました菅野と申します。ご用件はなんだったのでしょうか?」
「あのう、失礼ですがどちらの菅野さまでしょうか?」
電話の相手は受付係のようなニュアンスだ。そうか、向こう様は会社なんだ。
「山形県の百姓です。30分ぐらい前にお電話いただいたようですが・・・。」
「そうですか。それではしばらくお待ち下さい。こちらでお調べいたします。」
「ありがとうございます。ちなみにそちら様はどのような会社なのでしょうか?」
「はい、『東京○そう(しょう)』ともうしまして芸能プロダクションです。それではお待ち下さい。」
なに!芸能プロダクション?
そのような職種に友人はいない。ということは・・・会社の業務として電話をくれたということか。
だとすると・・・もしかしたら・・・おれに?
そうか。時代はついにここまで来たか。
「青年達よ。なくなったって誰もさして困らない虚飾の文化(仕事)の中で、貴重なエネルギーをこれ以上浪費するのはやめよう。人生を擦り減らすのはやめよう。田園まさに荒れなんとす。日本を土から問いなおそう。築きなおそう。農村は君達を待っている。」
プロダクションに実務を依頼しながら、百姓として、百姓のままで、広く全国にメッセージを飛ばす・・・いいかもしれない。
TBSラジオで、久米宏さんと30分ほどの対談を行ったのは昨年だったけど、反響が大きかったので再放送をさせてほしいとの連絡があったのは今年の冬だ。また、NHKの「ラジオ深夜便」で、全国にむかって月に一度の15分間、「土、いのち、食、地域、自然」などの話題を中心に、2年間にわたって話してきた。NHK東北放送では今年の冬、伊奈かっぺいさんと40分ほどの対談をした。そんな中で、個人的にもさまざまな反響を感じてきたのだけれど。まさか、次がこんな形でやってこようとは・・・。
「あのう、菅野さま。ただいま調べましたが社員の中には該当者はいませんでした。申し訳ございません。間違い電話だったかと思います。」
「えっ、間違い電話ですか?」
「はい、菅野様は当社のオーデションをお受けになりましたか?」
「オーデション?いいえ、なにも特技はありませんので。」
「それではやはり間違い電話だったと思います。大変ご迷惑をお掛けしました。」
「えっ、あ、そうですか・・」
実にあっさりと終わってしまった。
この出来事を村の百姓仲間との酒飲みの席で話したら、俺のカン違いをさんざんからかわれ、酒席を大いに陽気にさせたよ。
だけどな、ま、こんな笑える話はわきに置くとして・・・だ。
カン違いではないと思えるのは、時代が確実に農の側に来ているということだと思う。
しかし、その農への流れの中で、何よりも注意しなければならないことは、農業の担い手が企業だ、生産法人だといいながら、暮らしとともにあった農業が、単なる勤め先になろうとしているということだ。そこには百姓はいない。村はない。
農への青年たちの志は、単なる農業労働者になることではないはずだ。
それを百姓の農に。誰もが新規参入できる、暮らしとともにある農に。
そこのところを「青年達」と一緒に語り合っていかなければならないと思っている。
2009.09.10:kakinotane
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