菅野芳秀のブログ
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「あとがき」の内山さんの感想がこの本の内容を端的にあらわしている。そこから少し抜書き ==== 書き終わってみると、なおさら私は日本の近代化とは何だったのだろうという気持ちになってくる。それが良かったのか、悪かったのかという価値判断は、まだ後の課題にしておいてもよい。それ以前のこととして、日本の近代化によって生じた変化がまだ明らかになっていない。そんな気持ちである。 本書のテーマであるキツネと人間の物語にしてもそうである。なぜ人はキツネにだまされなくなったのか。ここには人間たちの自然観の変化も、信仰観や死生観の変化も、そして当の人間観の変化もある。私たちを私たちたらしめている要素のすべてが変わったといってもよい。 ==== こんな風にあとがきに書かれていますが、この本では近代化がもたらした変化にかなりていねいにせまっていると思います。もちろん、それは否定的なことばかりではありません。近代化による喪失と、それがもたらした利便性や桎梏からの自由をどのように秤にかけるべきなのかということは、内山さんが書いているように、まだ後の課題でいいのかもしれません。でも、ここは現代のオルタナティブを考えるときの大きなテーマでもあります。そんなに先ではなく、この問題への答えを探すことも求められているのだと思います。
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