体感温度を左右する要素を知る

人によって、暑さの感じ方も様々ですが、体感的な暑さを左右する要素は病気で体温が上がるなどしない限り、基本的に皆さん同じです。

それぞれの要素は、言われてみればもっともなことですが、案外と忘れられていたりもするので、改めて紹介させていただきたいと思います。

夏の適温は25℃~28℃と言われておりますが、条件によって体感温度はかなり変わります。

〇湿度- 体感温度を左右する要素の中で、影響が大きいのが湿度となります。湿度が高いと汗の蒸発も妨げ、蒸し暑さを感じるので、50%~60%の湿度を心がけると快適に過ごせます。

〇輻射熱-床や壁・天井の表面温度も、体感温度に大きな影響を及ぼします。日射をまともに受けた窓ガラスのそばにると、暑さを感じますが、ガラス面の温度が低くなる冬場は逆に寒く感じると思います。夏でも、トンネルや洞窟のように、壁面が冷やされていると涼しく感じるのはこうした理由です。体感温度の目安は、室温+表面温度÷2となりますので、室温より壁の表面温度が上がらない・上げないことが重要となります。庭の土間や地表の打ち水なども、輻射熱を抑えるにはそれなりに有効ですが、効果は一時的で、逆に湿気の問題もあり、室内側に空気を侵入させないことも何気に重要です。

〇風・気流-風を取り込んだり、うちわや扇風機・サーキュレーターやエアコンの送風運転で気流をつけることで、体感温度は1℃~3℃位低下しますので、暑い夏は上手に活用したいものです。

〇太陽光・照明の光ー日の当たるところと日蔭では、日射熱や地面の輻射熱によって、体感温度が変わりますが、室内でも同様で、日射を遮ったり、照明を調整し発熱や明るさを抑える工夫も大事です。日射の遮蔽は、室内側のブラインドやカーテンよりも、よしずやオーニングなど、外側で遮った方が、断然効果は高くなります。特に西側の窓面からの日射は強烈ですので、出来るだけ避ける工夫が必要です。

〇着衣- 当たり前のことですが、人が身に着ける衣類によっても、体感温度は変わります。仮の話ですが、すっぽんぽんであれば、30℃・60%の状態で、眠ても暑さはほとんど感じないそうです。日射の強い時の外出時は、日射を吸収しにくい、白が一番過ごしやすいのは、よく知られている話です。ちなみに、「黒→青→緑→黄→赤→白」の順に熱吸収が大きいそうです。

〇活動量-これも当然ですが、人は体を動かすことで、血流や体温も上昇します。じっとしていれば暑くないのに、階段の上り下りや掃除・洗濯など、少し動いただけで暑さを感じるのは、自然の摂理です。

〇生活熱ー人が生活していれば、当然人からも、熱が発生しています。成人男性1人当たり、1時間で100Wの熱量を発生させているということも、案外見落としがちです。その他、電化製品は、ほとんど機械内部で発熱しており、温度上昇による故障を防ぐために、モーターで室内に熱を放出しています。テレビやパソコン・照明なども不要の時は電源を切った方が、室温上昇の防止には有効です。

〇 体温ー夏になると、プールや川・海などに行くのは、冷たい水に触れたり、浴びたりして、体の表面温度を下げるためのものです。シャワーを浴びたり、冷たいタオルで顔を拭いたりするのも同様です。また、汗を拭くことも、汗の蒸発を促すためには重要です。高齢者が熱中症になりやすいのは、体温を下げるための発汗作用の衰えが、大きな原因で、暑さも感じないのに、知らず知らずのうちに体温が上昇してしまうのです。また、冷たい水や飲み物を飲むことで、喉の渇きや身体の深部体温を冷やす効果がありますが、小さなお子さんなどは、あまり飲みすぎるとお腹をこわしますのでご注意ください。

室内より、外が熱い夏は、室内で発生する熱は、外へ逃げずに、室内でこもってしまい、室温は上昇します。室温や湿度が上昇すると、カビなどの微生物も活発になり、ダニや害虫も繁殖しやすくなり、室内の家具や床・壁・天井などの有機化合物や臭い成分などの、揮発量が増加し、空気も汚れやすくなります。臭いや湿気や熱気を排出するためにも、室内の換気が重要となります。

これらの要素を、上手にコントロールすると、エアコンに頼らずに、省エネで快適に、しかも健康にも環境にも建物にもやさしい健やかな暮らしが可能となります。

是非、それぞれの暮らし方を工夫していただき爽やかな夏を過ごしていただきたいと思います。


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