体感温度の違いがもたらす悪影響

人が暑い、寒いと感じるのは、温度が大きく影響しますが、体で感じる体感温度は、風や湿度によって大きく変わるのは、皆さんもよくご存知かと思います。

風があれば、涼しく感じたり寒く感じ、体感温度も低くなり、湿度は高ければ暑く感じ、低ければ寒く感じるものです。

そして、意外と知られていないのですが、体感温度に影響されるものとして壁の表面温度(平均輻射温度)があります。

平均輻射温度とは、床や壁・天井部分の平均温度を指していますが、この温度が室温と同じならば体感的にも変化は感じないのですが、低ければ寒く感じ、高ければ暑く感じるという訳です。

外断熱の場合、構造材の外側に断熱工事を施すことで、床下や壁の中、小屋裏といった構造躯体の中も室内に近い温熱環境を保つことになります。

一方、内断熱の場合、床下や小屋裏は外気に近い温度になるばかりでなく、断熱材の入らない柱や梁・根太や大引き・構造用金物といった部分が、熱橋の影響を受け、床や壁・天井部の表面温度には、どうしても温度ムラが生じることになります。

また気密・断熱工事が不十分な場合は、断熱材と構造材の隙間などが、断熱欠損部(断熱が作用していない部分)となり、壁の表面温度も必然的に低くなってしまうのです。

また30℃を超える真夏の場合はどうでしょう。

外断熱の床下は25℃前後・壁の中は28℃から30℃・一番暑くなる小屋裏でも30℃から32℃と安定し、構造内が、外気温を超えることは、ほぼありません。

一方、内断熱の場合は、構造上、外気の影響を直に受け、床下は27℃から28℃になり、壁の中は35℃を超え、小屋裏は40℃を超え、時には50℃近くまで上昇する場合が出てくるのです。

外断熱の小屋裏は、快適に活用できますが、内断熱で、ロフトや小屋裏利用を図っても、夏場はサウナのような状態となってしまうため、お客様がリクエストしても、大体は敬遠されるのですが、それ以上に、気密や断熱部分の取り合い部の施工が困難で、設置すると結露の危険性が高まり、後々大きなクレームにつながる為に、造りたくないのが最大の理由です。

よく、夏場は2階の寝室が暑くて、エアコンをつけっぱにしたり、1階でお休みになるという話を耳にしますが、夜、外気温が下がってもなかなか部屋の温度が下がらないのは、高温に熱せられた躯体の中の温度がなかなか下がらず、その熱ごもりによる輻射熱の影響が大きいことをご理解いただきたいと思います。

体感温度の目安としてよく使われるのが

体感温度= (室内温度+壁の表面温度)÷2 です。

気候の穏やかな春や秋は、あまり影響しませんが、冬や夏の厳しい環境下においては、体感温度には、内断熱と外断熱には歴然とした違いが生じるということをご認識いただきたいと思います。

そして、この体感温度の違いを単に快適か不快かという問題としてとらえるだけではなく、目に見えない構造部分の激しい温度変化が、年中繰り返されることになるのです。

寒いと感じれば、暖房の設定温度も高くなり、暑いと感じれば冷房の設定温度を下げてしまいます。

そうすると、冷暖房費が上昇するのはもちろんのこと、冬においても夏においても、目に見えない壁体内で発生する内部結露の危険性が益々高くなり、断熱性能の低下や構造の腐朽などの劣化が助長され、住む人と建物の健康を徐々に蝕んでいくということを認識した家づくりを検討していただきたいのです。




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