ナイチンゲール「看護覚え書」に学ぶ⑤

9.陽光- 陽光は健康にも回復にも不可欠である P145より

病人を看護してきた私の経験のすべてが語る、動かしようのない結論がある。

それは、新鮮な空気についで病人が求める二番目のものは、陽光をおいてほかにないということである。

すなわち、病人を最も害する部屋は、閉め切った部屋に次いで暗い部屋なのである。しかも病室に欠くことの出来ないその光とは、直接差し込む太陽光線なのである。

もしも事情が許すなら、患者を太陽がかげった部屋にそのまま寝かせておくよりも、陽光を追いかけながら建物の向きに応じて部屋から部屋へと移した方がよい。

そんなことをしても、どうせ効果は気分的なものだけだと人々は軽く思っているが、そんなことは絶対にない。太陽が光で描く画家であるばかりでなく、物質に働きかけて造りかえる彫刻家でもある。

太陽が光で描き、フイルムを感光させて写真をつくることは、誰でもしっているのではないか。

あえて、科学的に説明するまでもなく、太陽の光線が人間の身体にも、眼にもはっきり見える実質的な効果をもたらすことを、私達は認めなければならない。

しかもこれがすべてではない。陽光が室内の空気を浄化する作用に気付いた経験のない者がいるだろうか。

雨戸を閉め切った空き部屋へ足を踏み入れたとき、人間の呼吸で汚されたはずのないその部屋の空気が、息詰まるほどカビ臭く腐敗していることに気付く、そんな経験を誰もが持っているはずである。

これは、すなわちその部屋の空気は太陽光線の浄化作用を受けていなかったのである。事実、暗い部屋や部屋の片隅にカビがはえることは、誰もがよく知っている。

太陽の恵みをいっぱいに受けて、部屋が明るく快適なこと、それが病気の治療に欠かせない条件である。

※ 最近の新築住宅を見渡すとやけに窓の小さな家が大分多くなった気がします。冬場の熱損失にしても、夏場の熱の侵入にしても、窓部分の比率が大きいため、UA値の計算上も有利になり、窓が少なくなることによって、建築コストの軽減につながるのも事実です。しかし、病気の快復同様、健康を維持するためにも、陽光は重要で、必要以上の窓はともかく、光が入らず家が暗く感じるような家は、造ってはいけないのです。 

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