湿度と乾燥について理解する

大分、寒くなり連日のように乾燥注意報が発令されるようになりました。

乾燥注意報発令の基準は、地域によっても違いますが、仙台管区気象台では、最小湿度45%・実効湿度65%で風速7m/s以上かまたは最小湿度35%・実効湿度60%以下になると乾燥注意報が発令されます。

※ 実効湿度とは、3日前からの日中1時から2時位の平均湿度です。

案外、勘違いされている方もいらっしゃるようですが、乾燥注意報は、木材などが乾燥することで、火災の発生や延焼の危険を注意喚起を目的に出される注意報であって、インフルエンザやスキンケアのための注意報ではありません。

私達が、日常の生活において湿度と呼んでいるのは、空気が水蒸気を含むことのできる量に対し、その時点で含んでいる水蒸気の量の割合(相対湿度という)を示したものですが、温度が高ければ高いほど含むことのできる水蒸気の量が大きくなります。



上記は、温度による飽和水蒸気量を表したグラフですが、ご覧の通り、20℃の空気には1立法あたり、17グラムの水蒸気を含む事が出来ますが、5℃の空気には6.8グラムほどの空気しか含むことができません。

つまり、温度は5℃で、乾燥注意報が発令される湿度が60%という場合、(6.8g×0.6=4.08)となり、1立法あたり、約4.1gの水蒸気を含んでいるということになります。

多分、湿度60%と聞いても、乾燥していると感じる人は少ないと思いますが、ラジオやテレビで、乾燥注意報が発令され、空気が乾燥してますので、インフルエンザにはご注意ください・火の元にもご注意ください。というアナウンスを聞くと「乾燥」という二文字が、頭にインプットされてしまい、室内の湿度計なんかみたら、あら大変~となる訳です。

仮の話で恐縮ですが、外気温5℃で湿度60%の空気を、そのまま一気に、室温20℃の家の中の空気と交換したら湿度はどうなるでしょう。

先ほど、説明した通り、5℃で湿度60%の空気の場合は(6.8×0.6)で約4.1グラムの水蒸気が含まれているので、17グラムの空気を含むことの出来る20℃の空気と入れ替えると、4.1÷17=0.241となり、室内の湿度は、一気に24%となるわけです。

要するに、5℃の60%の水蒸気の量も、20℃で25%の水蒸気の量も水蒸気の量自体は、(絶対湿度という)は、同じということで、室温が上がることで、単に湿度が下がるのを、乾燥していると錯覚しているケースが非常に多いのです。

そして、ここからが、大事なポイントですが、

「高断熱・高気密の家は乾燥すると聞くのですが~?」

という質問を受けることがあります。

24時間換気によって新鮮な外気を常時室内に取り入れ、かつ水蒸気を発生しない暖房機を使用する高断熱の家では、レベルが高ければ高いほど乾燥気味に感じるのは、ある意味必然となります。

多くの方は、ある程度の乾燥は、すぐに慣れて、良質な空気環境によって、カビやダニの発生を抑え、空気中に漂うハウスダストや化学物質を常時、排気することで、アトピーやアレルギー・喘息などの症状が、飛躍的に改善したという話も数多くいただきます。

もちろん、喉の弱い方やインフルエンザの予防を図るためにも、ある程度の湿度はキープしたいというのも当然の話で、室温20℃・湿度40%を一つの目安として心がけていただきたいと思います。

最近は大分お洒落な加湿器がいろいろ売られているようで、上手な加湿器の利用をおすすめいたしますが、なかなかコントロールが難しく、水の補給や掃除なども大変なのも現実で、我が家では、加湿器はほとんど使わなくなりました。

その点、外断熱の家では、洗濯物の室内干しも加湿対策にも役立ち、濡れたタオルをかけたり、観葉植物を設置するなど、お客様の暮らしに合わせいろいろ工夫してみてはいかがでしょうか!

また、内装に塗り壁やエコカラットなどを採用しているお客様は、壁に霧吹きで水分を含ませたりするのも効果がございます。私の家では玄関や和室前の土間部分に水を撒いたりもしています。

いろいろな工夫をしながら、その家なりの暮らし方を楽しむのも、外断熱の家に住む楽しみのひとつでもあります。外断熱の家の暮らしの達人!目指してチャレンジしてみて下さい。

※ よくテレビなどで、インフルエンザの予防のために、湿度60%が望ましいというようなことをいう方がおりますが、かなりピントがはずれた話ですので間に受けると大変なことになるので、注意が必要です。

乾燥する冬期間において、高断熱の家で60%の湿度をキープするには、何台もの加湿器を常時運転させなければならず非現実的です。

そして、乾燥より怖いのは結露やカビの問題です。室温20℃で湿度60%にしたとすると、露点温度は12.3℃になり非暖房室や目に見えない壁体内の12.3℃以下の部分では必ず結露が発生するのです。(外断熱の家では、7℃も8℃も温度差は出ないので大丈夫ですが)

そうした状態で、洗濯物を干したりしたら、すぐ湿度は80%にも90%にもなるということも理解しなければならず、大半の家では、家中が結露だらけになってしまいインフルエンザの予防どころではなくなってしまいます。

※ 結露は、含むことの出来なくなった水蒸気が水に変わる現象で、簡単にいえば湿度100%ということです。室温や湿度を上げれば上げるほど結露の発生する露点温度も高くなりますのでご注意ください。

インフルエンザのウイルスは空気感染しません。(飛沫感染はします)手洗いやうがいを励行して、空気の綺麗な温度差のない家で暮らすということは、基礎体温も上昇し、ぐっすり眠たれることで、自然と免疫力も高まり、そうそうインフルエンザには感染しないのです。

喉が乾燥するという方は、飴を口に入れたり、適時水分を補給すればOKです。

そして、湿度が低いと同じ温度でも、体感的に寒く感じるために、ついつい設定温度も上がり気味になるので省エネという観点からも目安として20℃・40%を心がけていただければ幸いです。

※ 参考までに露点温度のグラフを添付しましたので、ご自宅の室温や湿度をグラフにて確認してみて下さい。そして露点温度以下の箇所では、家中どこでも結露は発生するということをご理解下さい。家の中の温度差をなくすのは、単に快適さを求めるだけではなく、人と建物の健康を損ね悪の根源となる結露を解消するのが最大の目的なのです。






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