内断熱(充填断熱)の最大の危険要素

  • 内断熱(充填断熱)の最大の危険要素
内断熱の抱える危険要素について、何回かにわけて紹介したいと思います。

まず初めに一番の欠点となる熱橋についてご説明いたします。

構造の外側を連続して断熱する外断熱とは違い、内断熱の場合は、構造(柱や間柱・桁)などの部分は、非断熱部分になることで、熱橋(ヒートブリッジ)による、温度ムラや木の収縮に加え、内部結露の危険性が高まります。

木は、一応断熱性能を有していますが、基本的に断熱材ではありません。

断熱性能を表す数値に、熱伝導率がありますが、(熱伝導率は低いほど性能が高い)

杉・ヒノキの熱伝導率は、0.12W/(m・K)であり、内断熱で多く使用されている高性能グラスウールの熱伝導率(0.038W/(m・K)と、比較すると、約3分の1の性能でしかなく、グラスウール100mmと同等の性能を柱に求めると、約30㎝の太さが必要となり非現実的です。

※コンクリートや鉄は伝導率が高いのであえて省略します。

内断熱の場合、構造部のこうした熱橋部によって、いくら性能値の高い断熱材を使用しても、構造部の熱橋によって、性能を十分に発揮できないのが現実です。

ちなみに、熱の伝えにくさを表す、熱抵抗値(m2・ K/W )は、材料厚み÷材料の熱伝導率で計算できます ので、壁部分の熱抵抗値を比較してみましょう。(熱抵抗値は高いほど性能が高い)

〇 ソーラーサーキット(標準)0.06(材料厚み)÷0.024(熱伝導率)=2.5 m2・ K/W      

〇 ソーラーサーキット(ZEH仕様)0.075(材料厚み)÷0.022(熱伝導率)=3.4m2・ K/W

外断熱の場合、構造の外側に断熱施工するので、基本的に熱橋部はありませんので、簡単に計算できます。

しかし、内断熱の場合は、最低でも20%もの熱橋部がある為に、断熱部に加え、構造部分の熱抵抗値も考慮しなければなりません。

〇内断熱で高性能GWの場合の壁部分の熱抵抗値 (開口部は含まず)

断熱部分= 0.1(材料厚み)÷0.038(熱伝導率)=2.631m2・ K/W
構造部=0.105(3.5寸の場合)÷0.12(熱伝導率)=0.875m2・ K/W

壁全体=(2.631×0.8+0.875×0.2÷10)=2.28m2・ K/W(平均熱抵抗値)

つまり、断熱部分の熱抵抗値は、2.63となっておりますが、構造部分は0.875となっており、壁部分の平均熱抵抗値は、2.28になってしまうのです。

参考までに、2×4の場合は2.05m2・ K/Wとなり、2×6の場合3.176m2・ K/Wとなります。

そして、ここが重要なポイントなのですが、この数値は、内断熱では困難とされる100%の断熱施工をした場合の計算値であって、しかも、断熱性能を発揮する為に必須となる気密性能の良し悪しは、基本的に考慮していない計算なのです。

※ 宮城のような寒冷地は、C値(相当隙間面積)は、2.0以下が最低基準とされており、経年変化を考慮すれば1.0以下は必要とされていますが、現在、基準はないに等しく、測定義務もない為に、多くのメーカーでは、測定もせず中気密(推定5.0)で・高断熱もどきの住宅が、次々建てられているのです。

また、構造のやせや狂い・構造内部の金物や配線・配管部の断熱欠損、湿気による断熱材の経年劣化も考えると、新築時はもちろん、長期的に計算上の性能を発揮するのは、現実的に困難なのです。

一方、外断熱の場合は、断熱の内側に構造部があり、おのずと柱も熱を蓄える蓄熱体となることで、目に見えない輻射熱効果が発揮され、湿気による性能の低下もほとんどなく、計算値以上の性能を発揮するとともに、新築時点での断熱性能が長期にわたり保持されるのです。

問題となるC値も、弊社では平均で、0.46㎝/㎡という業界トップレベル気密性能で、完成時0.7㎝/㎡の気密保証も実施しており、お引渡し後10年後にも気密測定を実施し、1.0㎝/㎡の気密を保証を実施させていただいております。

※ 高気密・高断熱住宅・省エネ住宅・ゼロエネハウスというからには、モデルハウスの数値ではなく、実際建てる建物の完成時のC値・気密測定の実施・将来の経年変化などについて、しっかり確認することが、非常に大事なことです。




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