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▼DC-DCコンバータ>出力電流に対する誤解
この手の携帯電話充電器を改造等で携帯電話充電以外の用途に転用するという記事をネット上でいろいろ見かけます。
その中で良く勘違いされているのが、出力電流の見積もり。
MC34063A及び互換品のデータシートに書かれている「1.5A」という数字を見て、その1.5Aがそのまま取り出せるものと思われている方がおられます。
しかしこの「1.5A」というのは、スイッチングトランジスタの最大許容電流であり、1.5Aがそのまま出力出来るわけではありません。
1.入力電力と出力電力の関係
DC-DCコンバータの基本となる入力電力と出力電力の関係は以下のようになっています。
入力電力=入力電圧×入力電流
出力電力=出力電圧×出力電流
出力電力=入力電力×変換効率
この式の示す事は・・・
ダウンコンバータの場合は入力電流より電圧比分だけ電流が多く取れ、アップコンバータの場合は逆に電流が取れなくなります。
さらにこれに回路による損失がある事から、変換効率等を考慮しなければならず、さらに出力電流を減じて見積もる必要があります。
補足:そのままダウンコンバータとして使用するのか、改造してアップコンバータとして使用するのかでも変わってきますが、アップコンバータの場合、電源+コンバータで変換するエネルギーという考え方になります。
2.最大許容入力電流の考え方
スイッチングトランジスタはON-OFFのパルス動作をしています。
デューティ50%動作として見積もった場合、平均電流は半分の0.75Aと考えなければなりません。
(実際に流れる電流はアナログのパルス波形なのでこれよりさらに減じて計算する必要があります。)
3.その他の部品による電流制限
回路に許容される電流ですが、使用されている部品の電流容量(コイルやダイオード)の都合もあります。
特にアップコンバータの場合、コイルに蓄えられるエネルギー(使用されているコイルの特性の他にスイッチング周波数が関係してきます)を計算に入れないと、思ったように電流が取れない、という事にもなります。
またICを保護する為の過電流保護(過電流検出)用の抵抗も付いており、この動作点は入力側の電流で計算されている事の認識も必要です。
出力電流はこれらを考慮して見積もる必要があります。
●2009.08.15
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