ハモコミ通信2022年1月号

  • ハモコミ通信2022年1月号

2022年。来た! ワクワク劇場の始まり始まり! 年始特別号、ちょっと長いですが、よろしければお付き合いくださいませ。大自然が与えてくれる二つの軸(縦軸は道理、横軸は智恵) に心を向けてみませんか。


 

◎人生、一誠に帰す

致知出版社藤尾秀昭社長 月刊致知1月号のコラムより一部抜粋

(前略)

明治に生を受けた人は濃淡はあれ、等しく天というものを意識して行動していたように思える。

一代で日本ガイシやノリタケ、TOTOなどの母体を築いた森村財閥の森村市左衛門。

この人の信条は、「天に神あり。地に心あり。人生、誠を以て貫く」である。

して「正直、親切、勤勉」を日常生活の規範にしていたという。

日露戦争を勝利に導いた東郷平八郎にも、次のような言葉がある。

「天は必ず正義に与(くみ)し、神は必ず至誠に感ず」「終局の勝利は、必ず誠実な者に帰す」至誠、誠実を東郷がいかに大事にしていたかが窺(うかが)える。

西郷隆盛もまた、至誠を重んじた人である。その言葉。

「人を相手にせず、天を相手にせよ。天を相手にして己を尽くし、人を咎(とが)めず、我が誠の足らざるを尋ぬべし」

事業を成すに当たっての大事な心構えを説いている。

人を相手にするのではなく天を相手にし、その天に対して真心の限りを尽くし、仮に失敗に終わっても人のせいにして咎めたりせず、自分の真心が足りなかったのではないかと自省せよ、というのである。

襟を正さしめずにはおかない言葉である。

明治という時代が際立つのは、武士などの一部に限らず庶民に至るまで、国民一人ひとりが天に対して誠を貫いて生きようという意識を共有していたからではないか、と思われるがどうだろう。

(後略)

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<コメント>

「お天道様が見てるんだよ」

子どもの頃、祖父母や両親からよく聞いた言葉です。先生もよく使っていました。それなのに、我が子に語り継いできたか?と自問してみるとNOでした。

何でだろう?? 思い返してみました。

子どもの頃は「お天道様」は自分の中に確かに存在していたような気がします。

いつからか、「お天道様」「天」などというのは『非科学的・非論理的・非合理的』ということで、意識から排除してしまったようです。

年を重ね、様々な経験を通して、この『科学的・論理的・合理的』の対極には『目には見えないし、形がなくつかみどころがないが、とても大切なもの』があって二つが対をなし、どちらも大切な両輪であることが見えてきました。

両輪ととらえると、どちらかが大きすぎると車はぐるぐる回って前に進まないことがイメージできると思います。

1月、 1年の計をすでに立てた方もいらっしゃると思いますが、西郷どんの言う「人を相手にせず、天を相手に」という視座で見返してみてはいかがでしょうか。

私たちが持って生まれてきた特質(天からいただいたギフト)をできるだけ伸ばして、生かして、周りの人の幸せを増やしていければいいですね。

大自然の営みには原理原則があります。私たちも大自然の一部。清々しくそこに耳を傾け、襟を正し、その意を汲み取りたいと思います。


 

◎生態系サービスの利用

宮城県森林インストラクター協会 mifinews80号 より抜粋

子どもたちと共に活動すると、「森は暗くて怖いから入りたくない」、「虫は気持ち悪いから世の中にいらない」と話す子たちが多いことに驚きます。

そんな考えの人が増えつつある中で、いろいろな生き物が生息できる豊かな環境を維持することはできるのでしょうか。

不思議だな、なぜだろうという気づきや関心を自然遊びの中で伝えられたらと考え、生物多様性を保全すべき理由のひとつ、生態系サービスである「バイオミメティクス」(生物模倣技術)を取上げます。

なんといっても有名なのは、新幹線です。静かに走るために、世界で一番静かに飛ぶことができるフクロウの風切羽をパンタグラフに応用、トンネルドンと言われるトンネル突入の際の騒音の軽減にはカワセミのクチバシの形状を先頭車輌に模倣しました。開発者は野鳥の会の会員でもあるとのこと、日頃の観察があってこその気づきですね。

身近な家電にも応用されています。

アコン室外機には、鳥の中でもっとも滑空力が高く数万キロも飛び続けることができ、効率的な翼を持つアホウドリと、乱気流の中でも安定して飛ぶことができるイヌワシの羽根形状が応用され、静音化と効率化を実現しています。

濯機の槽には、らせん状の凹凸があったり、底には緩やかなカーブがついていたりします。これはイルカの皮膚の形状や高速遊泳を可能にするヒレを模倣。

サイクロン掃除機用のゴミ圧縮ブレードには吸い込んだゴミを固めて再膨張を防ぐためにネコのざらついた舌の構造が応用されています。

ひらひらと飛んで2000キロもの旅をするアサギマダラの羽根から、風速ムラのない滑らかな風を送り出す扇風機が生まれました。

ヨーグルトが全くつかない蓋に感激したことはありませんか。これは水をはじくハスの葉からのひらめきです。蓋に10µmの小さな突起をつけました。

服にくっつく植物の種子をヒントに生まれたのが面ファスナー(マジックテープ)です。

高速で飛びまわりながら空中に浮遊する虫を捕らえることができるアマツバメ、つるつるのガラスにもでこぼこの岩でもすいすい登ることができるヤモリ、虹色に光り輝く玉虫。
子どもたちに「どうしてそうなんだろう?」と思わせたらこっちのものです。

(中略)

生き物を模倣した技術には、ワクワクするあっと驚くハナシがもっとたくさんあります。

タのひとつに加えてじっくりと観察してみてはいかがでしょうか。

日本人は古くから、自然を畏れ、敬い、崇めながら自然と寄り添い共存してきました。

自然から学ぶという視点を普段の生活や技術開発に活かすことで、より生物の多様性への目が開かれるのではないでしょうか。

自然の中で遊ぶ楽しさを知っている人の裾野を広げることが森や環境を守ることにつながり、真の循環型社会を可能にする様な気がします。

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<コメント>

略した部分も含めると、事例が15!まずは著者の熱意に脱帽です。

会員に向けてたくさんのネタを提供することによって、子どもたちの興味関心を引き、なぜ?と科学する心を育みたい一心ですね。

それにしても大自然は智恵の宝庫。無尽蔵という言葉がピッタリです。

ここでは動植物の形態的な特徴を生かした製品開発の話に特化していますが、種を超えた相互依存関係など、私たちが学ぶべきこと、すでに先人が取り入れていることが多々あります。

前コラムとは別の意味で、大自然の営みに目を向けたいものですね。2022年 GO GO!

2022.01.04:壱岐産業:[事務局ノート]