生活に取り入れたり、仕事で生かすなどしていただけると本望です。
◎極意は熱と光を相手に与えること 田中真澄(社会教育家)
「1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書」(致知出版社)より一部抜粋
(前略)
サラリーマンは退職と同時に「所属価値」を失ってしまいます。
大企業の権威をバックに肩で風を切る勢いだった人も、会社の社員という所属価値を失ってしまえば、誰からも相手にされなくなるものです。
その時、問われるのが「存在価値」です。言い換えれば「どこの企業のどういう肩書の方ですか」から「あなたには何ができますか」という問いへの答えが求められるのです。
これからの人生百年時代をいきいきと生き抜くうえでは、自分自身の「生き方革命」がとても重要になってきます。
私に存在価値の大切さを気づかせてくれたのは父でした。父は元軍人で私たち一家は戦後、いまの韓国・釜山から日本に引き揚げてきました。
ところが、日本が独立するまでの6年半、父はパージによって公職に就くことができず、過酷な行商で家族の生活を支えたのです。
日本国内が食べるものに事欠いていた頃までは、行商でもなんとか食い繋いでいけましたが、物が豊かになるにつれて厳しさは増していきました。
それでも父は決して行商をやめようとせず、朝早くから夜遅くまで人の2倍、3倍、汗水流して黙々と働きました。
私はそういう父の後姿をとおして「人間は命懸けで打ち込めば生きられるのだ」と教えられたのです。
父は軍人だっただけに商売には全く不慣れでしたが、ある人からこう教わったそうです。
「田中さん、商売というのは簡単なんだよ。太陽のように生きればいいんだ。太陽は2つのものを人に与えてくれる。1つは熱。熱意を持って人に接すれば、熱は自然と相手に伝わる。もう1つは光。光を与えて相手を照らし、関心を持ってその人の存在を認めてあげることが大事なんだ」
父は生前「俺は商いのことは何も知らないが、この2つだけは心の支えとしてきた」と私に話していました。
私が個業家(個人事業主)として自分の存在価値で勝負しようと思ったのも、そんな父の影響です。
これまで有料の講演会だけでも6,500回以上も行ってきましたが、私が伝えたいメッセージを凝縮すれは、父から教えられた「熱と光を相手に与えよ」に尽きるように思います。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
<コメント>
相手に熱と光を与えることが大切なのは、商売に限ったことではありませんね。人と人とが一緒に何かをするとなれば、常に共通のことだと言えます。
大なり小なり、それは可能だとして、よりあたたかい熱、より魅力的な光を与えるためには、自分自身の中にある熱と光を大切に育てていかなければならないと思います。ではどうすればいいか?
ひとつには、自分を信じる、自分を肯定的にとらえることではないかと思います。
自分自身のことは自分が一番よくわかっています。ダメな自分、イヤな自分をたくさん知っているがゆえに、自分を信じきれない、自分を肯定的にとらえられない人がたくさんいるように感じます。
これはとってももったいないことだと思います。本当はたくさんいい部分があるにもかかわらず、自分の良さはある意味すでに会得している部分なので、本人的にはそれが良いことと認識されにくいわけですよね。
でも実際にはとっても大切なものをそれぞれの人が持っています。自信を持って自分を認めた時、周りに対して、あたたかで魅力的な熱と光を与えることができると思うのです。
2023年が皆さんにとってそんな年になりますように心から願っています。