今月も、「まちネタ」(街で見つけたコラムに潜むコミュニケーションのネタ)をお楽しみください。
◎お礼参り
お正月に神社やお寺に参拝し、1年の祈願をした人もいるでしょう。
日常の生活においても、神社や神棚にお願いごとをしたり、お墓やお仏壇に手を合わせたりする機会はあるものです。
一方、その願いが成就した時には、お礼参りをする風習があります。
「願掛け(がんかけ)」に対して、「願解き(がんほどき)」ともいいます。
願いが叶ったらお礼をすることは、当たり前のことかもしれませんが、つい忘れがちになることでもあります。
お礼をするということは、「お陰様(おかげさま)」という感謝の心を形に表わすことといえます。
私たちはつい、自分の力だけで物事がなされたように思い違いをしてしまいますが、お礼参りは、謙虚さを忘れないための習慣でもあるのでしょう。
そこに実際に力が働いたかどうかはわからなくても、そう信じ、頭を下げることが大切なのです。
「勝って兜(かぶと)の緒(お)を締めよ」という諺(ことわざ)があります。
物事がうまくいった後は、感謝の区切りをつけてから、次の物事に取り組む慎(つつし)みを持ちたいものです。
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<コメント>
感謝を忘れず常に謙虚に、ということは意識しているつもりでも、ついついおごった気持ちが芽生える時もあります。
くどいくらいにこういう文章に接して、何度も何度も繰り返し省みる必要があるなぁ、と、自分を戒めるために選んだコラムです。
そこに実際に力が働いたかどうか…のくだりが意味するところは、歳を重ねるにつれてとても共感できるようになりました。
日本人らしい「あり方」「処し方」の伝統だと思います。
◎読書のすすめ
哲学者の野矢茂樹氏は、著書の中で、「国語力は『愛』だ」と述べています。
それは、相手のことを考え思いやる態度と、何よりも相手とわかり合いたいという気持ちが、高い国語力に結びつくからだといいます。
たとえば、パソコンの操作を相手に説明する場面を考えてみましょう。
相手が、自分にとっては当たり前の用語である、「マウス」や「クリック」を知っているだろうかと考えることは、必然的に伝わりやすい説明につながります。
人とわかり合うためには、自分の言いたいことをまとめる力だけでなく、相手のことを考え、思いやる態度が求められます。
加えて、他者が発する言葉の意味を読み取ろうとする姿勢と理解力が必要になります。
それは、多くの質の高い文章に接すること、つまり読書をすることで高めることができるのです。
そうした意味で読書は、情報を得るためだけに行なうものではありません。
相手の意図を読み取り、思いやる訓練のためでもあるのです。
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<コメント>
タイトルだけを見ると、何を今さら、と思いますが、深くものごとの本質を見ようとする姿勢に脱帽です。
国語力は愛。なかなかそういう発想には至りません。1つの道に精魂を傾けた人にだけ与えられるひらめき、そして洞察力なのでしょう。
「本のソムリエ」ことN氏は、毎日1冊本を読んで、その読後感想をメルマガで発信しているすごい人です。
毎日1冊読むだけでも気が遠くなりますが、書評発信も毎日。しかも、N氏はこの離れワザを12年間続けていらっしゃるのです!
それでいてとても謙虚。愛がいっぱい蓄積されているのでしょうね。