今月も、「まちネタ」(街で見つけたコラムに潜むコミュニケーションのネタ)をお楽しみください。
◎失敗した時こそ
どんなにものごとが順調に進んだとしても、難題が立ち塞(ふさ)がり、失敗してしまうことはあるものです。
失敗に対してどのように対処するかは、大きく2つのタイプに分けることができるでしょう。
1つは、心が委縮して逃避に向かう人。もう1つは「よし」と明るく受け止めて、やり直す人です。
アメリカの発明家であり、起業家でもあるトーマス・エジソンは、「私は決して失望などしない。なぜならどんな失敗も、新たな一歩となるからだ」という名言を遺(のこ)しました。
エジソンの偉大な功績を考えると、失敗を多く重ねながらも、希望を持って明るく善処することが成功や発明の秘訣だったといえるでしょう。
失敗をしない人は1人もいません。失敗をした時こそ明るく受け止めて、向上への一歩としたいものです。
その過程に大きな喜びがあり、自己の成長があることを知りましょう。
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昭和45年に松下電器の全商品のボイコット運動が起きたそうです。カラーテレビの二重価格問題を理由に全国地域婦人団体連絡協議会がその音頭をとった、という出来事です。 その時、部下だった人が、当初の予定の会合に行ったところ幸之助さんはいつもと変わらない穏やかな様子でその部下に次のように言った、と。
「君な、婦人団体の会長や副会長が言うてると思ったら、商売の基本も分かっていないと腹が立つわな。でも、違うで。あれは神様が、あの人たちの口を借りて僕や松下電器に注意してくれてはるんや。神様が言うてくれはると思ったら、腹立てるわけにはいかんわな。僕もよう考えてみるわ」
そして、1年後には、ボイコット宣言以前よりも高い市場占有率を達成したと。
失敗は明るく謙虚に受け止める。肝に銘じます。
◎リーダーシップ
Aさんは入社5年目です。営業職のリーダーとして期待される中、4泊5日で行われた営業プロフェッショナル養成研修に参加しました。
研修には全国から70名のメンバーが集まりました。1班10名で、7つの班に分かれ、講座や実習を通じて、営業のノウハウとスキルを学びます。
Aさんはチームのリーダーになり、チームワーク向上のために、積極的にメンバーに声をかけました。しかし、Bさんだけは打ち解けません。
「Bさんは何か抱えているのだろう」と察したAさんは、Bさんの参加を待つことにしました。
3日目の夜、メンバーが車座になって話をしている時に、Bさんが突然、職場でパワハラを受けていると告白したのです。
初めて人前で打ち明けたというBさんの話に、メンバーは親身に耳を傾けました。そして、解決策を真剣に考えるうちに、一体感が生まれていったのです。
Aさんは、リーダーとして相手の心に寄り添い、時に、待つことが大切だということを学びました。
Aさんのチームは、その後の再会を誓っています。
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<コメント>
鬼軍曹的な対応も時には必要かもしれませんが、やはり基本は目の前の人に親身になる言動ですね。
『責め心のない厳しさ、馴れ合いでない優しさ』という言葉がありますが、優しさというのは認知症のお年寄りにも伝わると聞いたことがあります。
待っている間に、何か問題が膨らんでいくこともあるでしょうから、その見極めはとてもむずかしいわけで、まさにリーダーとしての眼力が求められる部分だと思います。