今月も、「まちネタ」(街で見つけたコラムに潜むコミュニケーションのネタ)をお楽しみください。
◎語彙(ごい)力
将棋の最多連勝記録を30年ぶりに更新した中学生棋士藤井聡太四段の語彙力が話題になっています。
対局後のインタビューで、「実力からすると、望外の結果」「僥倖(ぎょうこう)としかいいようがない」など、中学生らしからぬ落ち着いた態度と言葉遣いで、謙虚に喜びを表現する藤井四段。
趣味は読書だそうです。
読書によって培われる語彙力は、理解力や思考力、表現力を高める基ですが、さらに、語彙の豊かな人ほど感情をコントロールすることができるといいます。
例えば、怒っている状態を表す言葉は「キレる」だけではありません。
「腹が立つ」「憤慨する」「激怒する」「怒髪(どはつ)天を衝(つ)く」などたくさんあります。
語彙の豊かな人は、自分の怒りの段階を客観視して、コントロールできるのです。
10月27日より、読書週間が始まります。
「忙中閑(ぼうちゅうかん)あり」という諺(ことわざ)があります。
忙しい生活の中に、わずかでも読書の時間を作り出し、書物を友として、言葉の知識を高めていきましょう。
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<コメント>
藤井四段もすごいですが、このコラムもすごい!
語彙が豊富な人が感情のコントロール名人、という切り口には恐れ入りました。
怒髪天を衝く、などという言葉を知っている人は、確かに怒ったりしないのかもしれませんね。
先日、狭い路地で荷下ろしをしていた大型トラックとその後続車で口論になっていたのを見かけました。
トラックは、通ろうと思えば通れるスペースを空けているのに、後続車は、邪魔ださっさと動かせ、と怒鳴っているのです。
お互い様の譲り合い精神はどこへいってしまったのでしょう・・・。
◎特急列車での出来事
Tさんはこの春、九州から四国へ転勤になりました。現在は、四国担当のエリアマネージャーです。
徳島県から愛媛県に移動するため、特急列車に乗った時のことです。指定された席に座ろうとすると、そこには他のお客様が座っています。
《 困ったな 》とTさんは思いました。 《 おそらく自由席券しか購入していないのに、こっそり指定席に座っているんだろう 》と推測しました。
すぐにでも座りたかっただけに、そのお客様にだんだん腹が立ってきました。
ちょうど車掌 (しゃしょう) が通りかかったので、Tさんは、自分の切符を見せて、事情を伝えました。
すると、「列車を間違えているのはお客様ですよ」といわれたのです。 改めて切符を確認すると、間違えて反対方向の特急に乗っていたのでした。
「次の駅で降りて、反対ホームの列車に乗ってください」と言われて降りた駅は、「大歩危 (おおぼけ) 」という駅でした。
自らの早とちりで、見知らぬ人を心の中で責めてしまったことを反省したTさん。以来、切符の確認には余念がありません。
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<コメント>
おおぼけ駅! 作り話のように聞こえてしまうほど、事実は小説より奇なり、ですね(笑)。
さて、責め心。
最近、時々ではありますが、《 あっ、これは責め心だ 》と気づけるようになってきました。
自分の責め心に気づいたら、《 ちょっと待てよ 》と自問します。
《 これはもしかしたら何かを気づかせてくれようとしている出来事なのかな?》 《 もっと違う見方はないかな?》
そうすると、相手を責めるどころか、ありがたく感じる時もあるから不思議です。