今月も、「まちネタ」(街で見つけたコラムに潜むコミュニケーションのネタ)をお楽しみください。
◎奇跡の国学者
視覚、聴覚、言葉を失うという三重苦を乗り越え、福祉事業の発展に身を捧げたヘレン・ケラー女史。
その奇跡をもたらしたのは、家庭教師であるアン・サリバン先生の献身的な教育でした。
その奇跡の背景に、一人の日本人がいたことはあまり知られていません。
江戸時代に活躍した盲目の国学者・塙保己一です。
母親から「塙先生をお手本にしなさい」と言われて育ったヘレンは、その存在を支えにして勉強に励んだそうです。
塙保己一は、七歳の時に失明しました。
やがて学問を志し、全国に散らばっていた貴重な歴史書や古文書を一つにまとめていくことを決意します。
集めた文献を弟子に読み聞かせてもらいながら、頭の中で編纂(へんさん)し、41年もの歳月をかけて、666冊に及ぶ。『群書類従(ぐんしょるいじゅう)』を作り上げました。
一説では、塙保己一の頭の中には、6万もの古文献が記憶されていたといわれます。
世の中には、大きなハンディキャップを乗り越え、偉業を成し遂げた人物が多く存在します。
時代にかかわらず、手本とするような人物を持ちたいものです。
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<コメント>
ヘレン・ケラー女史は昭和12年に来日した際、保己一の像に触れ、そのことについて 「日本訪問における最も有意義なこと」 と語ったそうです。
その時代に遠く離れた日本の情報をどうやって知ったのか、興味のある方はNETを調べると詳しく載っています。
41年の年月の間には、くじけそうなことが何度となく訪れたことでしょう。必ずやり切る、という固い決意がそれを乗り越えさせたのですね。すごい話です。
◎お客様に寄り添う
Mさん一家がレストランへ食事に行った時の出来事です。
Mさんの息子は、アレルギー体質のため、メニューにある料理を注文することができません。
妻の手作り弁当を持参し、持ち込みを受け入れてもらえるか、店長に事情を伝えると、即座に了承してくれたのでした。
店長は「お母様、ご苦労の多いことでしょう。作られたお弁当をお預かりできますか。ディナー用の器に乗せて用意させていただきます」と言いました。
店長の対応に、家族全員が感動しながら食事をしたのでした。
また、支払いの際には、店長が「いつでもお越しください。お待ちしております」と、笑顔で見送りをしてくれたのです。
すぐに次回の食事の予定も計画せずにはいられないMさん一家でした。
同様の対応をどの店でもすることは難しいでしょう。とはいえ、お客様の求めるものを的確に捉える気配りがあったのは事実でしょう。
今後の良い関係につながる応対を心がけたいものです。
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<コメント>
読んだだけで涙腺が緩んじゃいました。
なんの躊躇もなく、さもあたり前のように自然に対応されたのでしょうね。
こういう姿勢でやっているお店なら繁盛間違いなしですね。
このお母様はきっと、これまで何度か嫌な顔をされたり、断られた経験があったのでしょう。そうであればこそ、大きな大きな感動だったのでしょうね。