今月も、「まちネタ」(街で見つけたコラムに潜むコミュニケーションのネタ)をお楽しみください。
◎そうめんの季節
「雨晴れて笠忘る」という諺(ことわざ)があります。
そうめんといえば夏のイメージですが、その生産時期は冬です。
冬の寒風と、穏やかな日に干されて、麺が作られます。
昔に比べて、生産量が低下しているというそうめんの普及活動に励んでいるのが、そうめん研究家のソーメン二郎さんです。
全国のそうめんを食べ歩きながら、そうめんの歴史や文化を研究し、講演や執筆活動を行っています。
奈良県出身の二郎さんは、三輪そうめんの製造販売を営む家に生まれました。
「うちは年中そうめんだから『お母さん、またそうめん?』と文句を言っても仕方がない。
自由研究と称して、いろいろな食べ方を考えていた」という二郎さん。
小学生の頃から、そうめんにツナや梅干、しょうがを加えたり、だしを変えたり、オリーブオイルを加えてみたりと、「飽きない工夫」をしていたそうです。
そうした生い立ちが、今の仕事にもつながっているといいます。
誰でも、同じ環境に長くいると、飽きがくるものです。その時いかに工夫するか。
「またそうめん?」と言う前に、研究する余地はまだあるはずです。
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<コメント>
冬は、にゅうめん二郎と名乗っていらっしゃるようですね。
それにしても、小学生からこういう心持ちでいられたっていうのは驚きです。
大人でも不平不満が出そうです(笑)。
仕事もプライベートも、工夫の仕方ひとつで、心の持ちようひとつで、いくらでも充実したものにできます。
人だけでなく、家、車、服、その他身の回りのあらゆる物にも1年間大変お世話になってきたのでした。
◎時間は節約できたけれど
Eさんは、駅から会社まで、最短距離の道を選んで出勤しています。「少しでも時間の節約になる」と、内心、得意気でした。
ある日、駅で先輩に会い、会社へ一緒に向かうことになりました。先輩は、Eさんとは違う道を通ります。
「なぜ近道を歩かないのですか」と理由を尋ねると、先輩の答えはこうでした。
「あの道はたしかに近いが、大通りに面しているから騒音がひどい。
歩道も狭くて、人とぶつからないように気を遣う。少し時間がかかっても、大きな道をゆったり歩いて、ストレスを溜めないようにしているんだ」
先輩の話を聞き、Eさんには、思い当たる節がありました。
いつも時間短縮にこだわるあまり、心に余裕がなかったのです。
効率ばかりを追い求めると、その代償はどこかにあるものです。その行動が心の栄養になっているかどうか、時には立ち止まって考えたいものです。
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<コメント>
効率を重視するというのは、ごく自然なふるまいだと思います。
ん? 私だけですか? 私は気をつけないとまるでEさんのようになりがちです(笑)。
だからこそ、効率を求める心はそのままに、それ以外のしっかりとした価値観でものごとにあたるとき、とても充実感を感じます。
仕事はまさに効率が優先される部分が多いものですが、会社で言えば理念、個人で言えば働く上での信念・信条がはっきりしているかどうかが問われますね。
常にそこに立ち返って考えたいものです。