今月も、「まちネタ」(街で見つけたコラムに潜むコミュニケーションのネタ)をお楽しみください。
◎「は・き・も・の」
仕事の指示は、内容、期限、目的などをできる限り具体的に伝えることが大切です。
これらが曖昧(あいまい)だと、貴重な時間を浪費しかねません。
株式会社ビジネスプラスサポート代表の藤井美保代さんは、指示する側も、受ける側も、明確にすべきポイントは「は・き・も・の」だと表現しています。
「は」は背景、「き」期限、「も」は目的、「の」は能率です。
たとえば、会議資料の作成を指示する場合、その資料が必要になった経緯(背景)、開催日時(期限)、何のための資料か(目的)を明示し、でき上がりの具体的な形や文字の配置などを伝えることで、無駄な時間をなくせます(能率)。
指示を受ける側は、その内容を実行する自分を想像し、明快に指示がなければ、上司から情報を引き出す工夫と努力が必要でしょう。
指示する側は、相手の理解度をはかりつつ、言葉だけで足りなければ略図を使うなど、伝達方法に工夫を凝らすことも求められます。
指示の「は・き・も・の」を確認し合い、質の高い仕事をしたいものです。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
<コメント>
サラリーマン川柳の受賞作品を眺めていたら、
「『早くやれ』そういうことは 早く言え」
「『言ったよね?』初めて聞いた でも言えず」
など、上司と部下のやりとりに関するものがいくつか目に留まりました。
私自身、時間が惜しいと説明を端折ってしまったばかりに、望んだものとは違うものが上がってきたりして、反省の日々です。
◎負けからの出発
誰にでも、生活や仕事の上で失敗の経験はあるでしょう。
それをどのように受け止めるかは、人によって大きな違いがあります。
「高校野球を変えた」とされる蔦(つた)文也監督は、徳島県立池田高校野球部を率いて、甲子園出場15回、優勝3回、準優勝2回を達成した名将です。
特に、昭和57年夏、58年春の大会では、「やまびこ打線」と称された圧倒的な攻撃力を示し、連覇を果たしました。
しかし、昭和46年の甲子園初出場までに20年かかった蔦監督は、「私の野球は負けからの出発」と、県発行の冊子に寄せています。
「負けることは不名誉なこととは考えません。不名誉なことは、負けることによって人間が駄目になってしまうことだと思います」
「負け」という言葉を「失敗」に置き換えると、「不名誉なことは、失敗によって人間が駄目になってしまうこと」となります。
失敗から謙虚に学びながらも、誇りや希望を失うことなく努力を続けることが、明日を拓く道なのです。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
<コメント>
やまびこ打線は、当時かなり話題になりました。
蔦監督、20年間、まさに繰り返しの失敗を学びの材料として、高い確率で成功に至る道=失敗しない方法にたどり着いたのですね。
その道筋は、1段ずつ階段を登るような右肩上がりの一直線ではなく、ある時期ある大きな気づきによって、一気に10段飛び、といった具合ではなかったのかな、と勝手に想像しています。
失敗は参考体験。そこからどのくらい学べるか!