今月も、「まちネタ」(街で見つけたコラムに潜むコミュニケーションのネタ)をお楽しみください。
◎ 心新たに
四月は、新しい環境や立場でスタートを切る人が多い時期です。
新入社員として、社会人の第一歩を踏み出す人、異動により新たな部署で働く人、担当が変わって業務に当たる人もいるでしょう。
しかし、実際には、環境や立場も変わらず、これまで同様に働く人が大半でしょう。その状況は、時に緊張感を失わせます。
だからこそ、入社式への参加や新入社員と接することが重要なのです。
自分自身が内定をもらった時の喜び、入社式の場に立った時の緊張感、若き日の失敗を思い起こすことは、現在の課題発見にも通じるはずです。
また、新人時代、失敗をして落ち込んでいた際に、先輩や上司の叱咤(しった)激励に助けられた経験を持つ人もいるでしょう。
これまでと変化のない人ほど、四月は原点に立ち返るチャンスです。入社式や新入社員の存在は、むしろベテラン社員のためにあるのかもしれません。
後輩の姿から学ぼうという姿勢が、新たな原動力となるのです。
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<コメント>
このコラムの目のつけどころがすばらしいですね。えてして人の関心は特殊な方にばかり行きがちですが、実は大半の人は変わらないのだ、と。
昔は、式というのはまさに形式的であまり意味がない、と思っていました。その頃は心の区切りというものを軽視していたのです。最近になってようやくその威力を感じています。
先日、結婚プロデュース業をやっている友人から、大変興味深く、驚くべき数字を教えていただきました。34、51、18という数字です。なんだか想像できますか?
平均離婚率34%に対して、結婚式を挙げてない夫婦の離婚率は51%、挙げた夫婦は18%なのだそうです。式、恐るべし!!
◎ 難しい仕事の受け止め方
入社五年目を迎えたS君は、これまでの営業部から、初めて総務部に配属されました。
新しい部署では、上司から次々と仕事の指示が出されました。
一つの仕事が終わらない段階で、「これも頼むよ」「今日中にやっておいてよ」という具合です。
最初は素直に聞いていたものの、あまりにも多い仕事量に、《 担当外の仕事もあるじゃないか 》と、不満が募(つの)りました。
半年ほど過ぎたある日、大学時代の先輩にその不満を伝えました。慰めの言葉を期待していたにもかかわらず、先輩の口から出た言葉は「良かったね」という意外なものでした。
「できる人だと認められたから、それだけの仕事が与えられたのだろう。難しい仕事も、パニックになりそうな仕事の量も、喜んで受けてやっていくと、君の能力はさらに開発されるものだよ」
S君は、その言葉に目が覚めた思いでした。難しいと思えることほど、成長の糧(かて)になるのだと受け止めて、向上のチャンスに変えたいものです。
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<コメント>
これは本当にそうですね。その人ができそうにない仕事は頼みませんもの。大変だろうけど、この人ならきっとやってくれるだろう、と思って頼むわけです。
逆の立場に立てば、頼まれごとは試されごと。これまでも様々な依頼をいただきましたが、ほとんど断らずやってきました。
それもこれも、若い時にこの先輩と同じようなことを、義理の父から教えていただいたからだと思います。
素直、というのは、人の成長に非常に大きな影響を与える要素ですね。私は素直な部分とそうじゃない部分が入り混じっており、お恥ずかしながら、いまだに素直になる訓練をしているところです。