今月も、「まちネタ」(街で見つけたコラムに潜むコミュニケーションのネタ)をお楽しみください。
◎ お母さんの請求書
日曜日の朝、ブラッドレーは、お母さんに1枚の紙切れを渡した。その紙にはこのように書いてあった。
〇ブラッドレーのせいきゅう書
おつかいちん 1ドル
おそうじちん 2ドル
音楽のけいこに行ったごほうび 1ドル
合計 4ドル
お母さんは、にっこり笑って、何も言わなかった。
お昼の時間の時、お母さんはブラッドレーに4ドルのお金をのせた。ブラッドレーはそのお金を見て喜んだが、そのお金と一緒に、1枚の小さな請求書があった。その請求書には、次のように書いてあった。
〇お母さんのせいきゅう書
親切にしてあげた代 0ドル
病気したときのかん病代 0ドル
服や、くつや、おもちゃの代 0ドル
食事代と部屋代 0ドル
合計 0ドル
これを読んだブラッドレーは、お母さんの所へ駈けていき 「お母さん、このお金はお返しします。そしてお母さんのために、何でもさせて下さい」と言った。
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<コメント>
小学4年生の道徳の教科書として採用している県もあるようです。その場合は、ブラッドレーを太郎君とし、ドルではなく円にしているようですが。
この話は、子どもももちろんですが、むしろ私たち大人が読んで感じるものだなぁ、と思いました。
無償の愛の恩に気づいた時から本当の親孝行が始まるのだと思います。
◎ 「伝える」と「伝わる」
「CMを編集する際は『隙間』を大切にする」というのは、クリエーティブ・ディレクターの箭内(やない)道彦氏です。
「言いたいことで十五秒を埋めるのでなく、見る人が、感じたり考えたりできる時間を必ず数秒つくります。せりふも、音楽も。『伝える』が、少しでも『伝わる』に変わるように」
箭内氏は、「押し売る」のでなく、「引き込む」ことも広告には必要であり、それを「伝える」と「伝わる」という一文字の違いで表現したのでした。
人と人とのコミュニケ―ションについても、同じことが言えそうです。
相手を説得しようと、大きな声で一方的にまくしたてれば、相手に届くわけではありません。
むしろ聞き役に徹することで、心が響き合うケースも少なくないでしょう。
自分の思いが伝わらないのは、相手が聞いてくれないのではなく、実は、相手の気持ちを素通りしているこちらに問題があるのかもしれません。
時には、自分の伝え方を振り返ってみたいものです。
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<コメント>
たった15秒でも間がないとダメなんですね。
1分間でスピーチや自己紹介を依頼されると、ついつい慌ててしゃべってしまいます。伝わることを意識するならば、それじゃダメってことですね。
「聞き役に徹することで、心が響き合う」というフレーズはまさにそのとおりだと思います。
話したいことがたくさんある時ほど肝に銘じたいことですね。
<ちょっと長めの編集後記>
水合わせの儀というのがあります。古来からの儀式で、新郎新婦の互いの実家の水を汲んできて、ひとつの杯に注ぎ合わせた水を飲むというもの。
別々の水(環境)で育った新郎新婦が、それぞれの家風の違いを乗り越えて一つとなり、二人で新たな家庭、水、環境を築いて行けるようにとの願いが込められているそうです。
これになぞらえ、ある祝賀会で合わせ酒という企画が実施されました。
宮城県内18の支部がそれぞれの地酒を持ち寄り、それを1つにして乾杯しました。
どんな味になるんだろうとドキドキでしたが「意外といけるねぇ」と評判でした。かなりの量がありましたが、見事全部飲み干されました(笑)。