これは、まなびピア2014宮城大会の参加事業として、
倫理研究所が東北放送とタイアップしてラジオ放送したものです。
全30話のうち、私的に選りすぐった3話をお届けします。
今週は、その1として表題のお話をお届けします。
数年前、私がスーパーでレジ係を担当していた時のことです。
二十代くらいの若い女性が会計をしに私のレジに並びました。
遠くから「ママー、これ買って!」とお子様用の小さなカゴに
お菓子をたくさん詰めた四歳くらいの男の子がやってきました。
私は 《 あらら・・・。全部買ってあげるのかな? 最近は子どもを
叱らない教育だって聞くし・・・ 》 と考えながら親子の会話を聞いていました。
するとお母さんは、男の子の目線にしゃがんで真剣な顔でこう言いました。
「○○くん、ママはね、パパから大切なお金を預かっているの。パパが一生懸命
お仕事してもらったお金だよ。ママはこのお金で、パパや○○くんがお仕事と
幼稚園がんばれるように、ご飯のお買いものをしてるんだよ。だからこんなに
たくさんはママ買えないなぁ」。
男の子は「わかった・・・」少ししょんぼりしてお菓子売り場にお菓子を返しに
行きました。数分後男の子はにこにこして何かを背中に隠して走ってきました。
「これ買ってもいい?」とお母さんに差し出したのは柿の種。
「これでいいの?」お母さんが尋ねると、「パパこれ好きでしょ?
パパにあげるの!」とにっこにこの笑顔。お母さんも笑顔になって
「パパ喜ぶね! これもください」とカゴに入れました。
会計が終わり、いつものように私は「ありがとうございました。
またお越しくださいませ」とお決まりの挨拶。
親子は「ありがとうございます」「ありがと!またね」と帰って行きました。
《 素敵な子育て、幸せな家族だなぁ 》と心がほっこり。
私もいつか子どもができたらこんな家族になりたいなぁと、
今もあのお母さんに憧れています。