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相田みつをさん 「しあわせはいつも自分のこころがきめる」
先月号でご紹介した「現代人の伝記(致知出版社)」の最後を飾っているのが相田みつをさん(書家)です。
銀座の相田みつを美術館館長でいらっしゃるご長男 一人(かずひと)さんが語り手となっています。
(前略)
若い頃から晩年まで、父が好きでよく書いていた言葉に、「一番大事なものに、一番大事な命をかける」があります。この言葉の対極にある作品として、「アレもコレもほしがるなよ」という言葉もあります。
父の言葉というのは、どちらにしろ自分に向けて言っている言葉ですから、父自身、アレもコレも欲しかったのだと思います。社会的名声も、お金も、豊かな生活も欲しい。しかし結局一番大事なものは何かと考え、捨てていったなかで、最後に残ったものが書だったのではないか。
(中略)
「しあわせはいつも自分のこころがきめる」というのが、父の幸福感を端的に表した言葉です。もう少し詳しく言いますと、禅の影響があってのことと思いますが、“比べない生活”というのを理想としていたようです。
(後略)
このあと「トマトとメロン」という詩で、我々がついやってしまう「人と比べること」の馬鹿らしさ滑稽さを語ってくれています。トマトはトマトであり、格好いいメロンになれ、って言われてもいい迷惑なのです。
さて、先日山口と広島で25店舗の外食産業を展開しているフジマグループ藤麻一三社長の講演をお聞きしました。お話の中で、相田みつを氏の「そのうち」という詩が紹介されました。聞いたことはありましたが、改めて自分と照らし合わせてみると、確かに「あるある」でした。そんな自分がいました。
「そのうち」
そのうち お金がたまったら
そのうち 家でも建てたら
そのうち 子供が手を放れたら
そのうち 仕事が落ちついたら
そのうち 時間のゆとりができたら
そのうち・・・・・
そのうち・・・・・
そのうち・・・・・と、
できない理由を
くりかえしているうちに
結局は何もやらなかった
空しい人生の幕がおりて
頭の上に 淋しい墓標が立つ
日が暮れる
いまきたこの道
かえれない
藤麻社長が勧めたのは、目が覚めたらパッと起きること。時間の早さの問題ではなく、5時でも6時でも7時でも、自然のリズムが目を覚まさせたわけで、迷わずわがままを断ち切って起きるのだ、と。
では、起きられなかったらどうするか? 全個皆完(ぜんこかいかん)という言葉があるのだそうです。すべては善い、という意味。 つまり起きられなかった自分もまた善い、ということのようです。