ハモコミ通信2005.8

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今回はお気に入りの話を2つ        


 ヒトデの物語

 ある朝早く、1人の男が打ち寄せる波を見ながら海岸を歩いていると、数え切れないくらいのヒトデが砂浜に打ち上げられ日干しになって死にかけていることに気がついた。その異常な光景にしばし茫然としていると、ふと遠くの方で若い女が1つ1つそのヒトデを拾い上げては海に向かって投げ返している姿が目に入る。男はその女のところまで近づいていき、こう声をかけた。「そんなことしたって時間の無駄じゃないか。こんなにたくさんのヒトデがあるのに、そんなことしていったい何の意味があるんだい?」 すると、その女は足元にあったヒトデを1つ拾い上げると思いっきり海に向かって投げ返し、「あのヒトデにとっては意味があったわ」と言ってさらに足元のヒトデに手を伸ばした。



 愛の電報

 今のような便利な時代ではない昔、本当にあった話です。

 ある夫婦がいました。知り合ったときから、お互いの波長が合うことを感じました。知り合って1年後には結婚。そしてその数ヶ月後… 彼の仕事は、観測や調査の仕事です。そんな彼が、越冬南極観測員に選ばれたのです。そして、単身南極に旅立ちました。想像を絶するような寒さ、そして孤独。彼女だって、それ以上の心の孤独とのたたかいです。 

 半年ほど経ったときに、彼女は、どうしても愛している彼に、メッセージを伝えたいと思いました。そのときに、アタマに浮かんだのが『電報』です。

 何度も何度も書き直します。伝えたいことが多すぎて書けません。書いても書いても本当の気持ちにならないんです。電報だから長い文章は送れないし、カタカナ文字になるのです。あなたなら…何て書きますか?

 気持ちやメッセージを伝えるのに、スタイルを守ると余計に伝わらない。彼女は、通りいっぺんの、「ゲンキデスカ?」「マッテルヨ」「アイシテル」そんな言葉では、今の気持ちが伝わらないことに気づきました。

 彼女は何と書いたと思いますか? それはたった3文字。「ア・ナ・タ」

2005.08.01:壱岐産業:[事務局ノート]