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一貫性の力 その 1
昨年12月、エコプロダクツ2007というイベントに行ってきました。企業やNPO団体がそれぞれ趣向を凝らして地球温暖化対策やリサイクル推進などを訴えていました。
出展の企業の多くは、記念品と引き換えに「あなたが出来る環境にいいこと宣言」のようなものを、一人ひとりに書いてもらっていました。「エアコンの設定温度を1℃高く(低く)します」 「買い物袋はもらわないようにエコバッグを持ち歩きます」 「“急”のつく運転をしないエコ運転を心がけます」などなど。
宣言(コミットメント)してもらうということは、今月号のテーマ「一貫性の力」に大いに関係があります。
すなわち、「宣言する」ことによって、人は自分の中にできた一つの軸を守ろうとして、一貫性を持って行動するようになる、というわけです。
あの人の話と行動にはどうも一貫性が感じられない、なんて言われたら、こりゃまずいですね。信用を失いかねないし、自分自身の誇りも揺らいでしまいます。人はそもそも言行一致し、終始一貫性があると思っていたいし、人からも思われていたいものでしょう。「言ったからにはやらなくちゃ」といった自分の内なる声に、人は結構しばられるというわけです。
では、宣言したことは必ず守られるか? 答えはNOですが、確率は高くなります。 紙に書く、署名をする、声に出して読み上げる、など、一貫性を保つための “強化策”があると、その効果は増幅されます。
「観客がいる」ということも重要で、多ければ多いほど効果的です。
以下は、アメリカの天然ガス節約キャンペーンで社会実験したときの実例です。
Aグループ : 何も省エネの秘訣を伝授されていないグループ
Bグループ : 単に省エネの秘訣を伝授されたグループ
Cグループ : 省エネの秘訣を伝授され、結果が良かったら新聞に名前を掲載する、と言われた
グループ
1ヶ月後の節約結果はいかに?
AとBはほとんど変わらなかったそうです。Cは? もちろんいい結果でした(観客効果) 。
さて、ここでCに対して「新聞掲載を中止する」と予定変更が伝えられます。
はたして翌月以降の結果は?
なんと! Cはさらに節約を重ねていったというのです。それって、どういうこと? そう、これぞまさしく強化された一貫性の力のすごいところです。 『公共精神に溢れ、省エネを積極的に実施する市民』という自己イメージを一旦強烈につくりあげたおかげで、一貫性をもって行動していったのでしょう。
ハモコミ通信2008年2月号
2008.02.01:壱岐産業:[事務局ノート]