甲子の大黒さま

▼一切皆苦の教え

 仏教には一切皆苦という教えがあります。この世は苦しみに満ちているという、私たちにとっては不都合な真実なのかもしれません。娑婆という言葉があります。「娑婆の空気はうまい」などと使われますが、もともとは仏教用語でして耐え忍ぶ地、忍土といった意味があります。この世に生を受けたならば忍の一字をもって耐えなければならないことがたくさんあるということなのかもしれませんね。
 

 最近は離婚後300日問題や夫婦年金分割がはじまったりと離婚数の増加に対応するかのような、または扇動するかのようなご時世です。役所に婚姻届をもらいに行くと「初婚ですか」さらに「ご両親は離婚されていますか」と確認されるそうです。それだけ離婚が日常化しているのでしょう。
 

 「理想の結婚生活とは違ったから」、「望んでいた仕事とは違うから」、「友達だと思っていたのに」となかなか忍の一字を保てない時代なのかもしれません。理想と現実には絶えずギャップがあるものです。現実は思うようにならず、時に残酷なものです。仏教の説く一切皆苦とは、そんな現実だからこそ辛くて苦しくてあたりまえ、だからこそ耐え忍ぶ覚悟を持って生きていきましょうということなのでしょう。
 

 辛く苦しい時、人はその苦しみから解放されることを求めます。しかし、この世は苦しみに満ちている世界です。たとえ目の前の苦しみから逃れても、次の苦しみさらなる苦しみがやってくるものです。だからこそ、目の前の苦しみに耐えなければならないのかもしれません。仏教では幸せも不幸も喜びも悲しみも自分自身が作り出すものだと説かれています。自分が作り出す苦しみに耐え、それを乗り越えた先にこそ心の平安があると教えています。そのことを信じ、目の前の苦難にじっと耐えることも大切なことなのでしょうね。



今日の写真 
今日の写真は新緑の美しいうこぎです。地元では昔から生け垣にされ、また食用にもなります。最近は様々な商品化もおこなわれているようで焼酎にもなっています。この植物には写真でもわかるようにトゲがあります。私達の人生もイバラの道であり、歩くたびにトゲが刺さり痛みを我慢しながらの生活なのかもしれません。ですが、その痛みの先にあるものを信じられるからこそ今を耐えることができるのかもしれませんね。
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2007.05.08:hs-1119

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