甲子の大黒さま

▼ご縁とご恩の生活

 仏教の特徴の一つに創造主を立てないということがあります。他の宗教にはこの世界の創造神話があるのですが、仏教にはありません。仏教ではこの世界には始まりもなければ終わりもない、この世界はすべて縁によってつむぎだされていると考えます。
 

 お釈迦様の教えに諸法無我というものがあります。縁によって成り立つこの世界の中に自分のものなど何一つないというわけです。たとえば自分の命でさえ「私の命だから」とは考えません。この世に生を受けたのは両親がいてくれたからであり、その両親にもそれぞれに両親がいて、いわば受け継がれてきた命であり自分だけのものではないと考えます。また、両親や親戚、先生や上司、そして友人などと様々なご縁によって出会った人のご恩によって、生かされているのだと仏教では教えています。
 

 また、毎日食べているご飯も自分が働いて得たお金で食べているとしても、買い物に行ってくれるお母さん、スーパーの人、運送の人、農協の人、農家の人、さらには大地、太陽、雨などの様々なご恩をいただいて食べさせてもらっているのだと考えます。この世のすべてのものはご縁とご恩によるいただきものなのだと仏教では教えています。よく掛け軸になっている「本来無一物」という言葉も同じ意味だと思います。
 

 現代は欲望の渦の中で生きているようなものです。あれも欲しいこれも欲しいと欲望を刺激されては、たくさんの物を抱え込もうと必死になってしまいます。しかし、欲望の世界から一歩離れ、ご縁とご恩の世界で生きることができれば感謝の心と共に心おだやかな生活を得ることができるのかもしれませんね。


今日の写真
 道端にタンポポが咲いていました。誰かが世話をしているのではなく自然に芽を出し花を咲かせる、可憐でありながら力強いタンポポの花に励まされたように感じました。
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2007.05.01:hs-1119

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