甲子の大黒さま

▼長寿社会に思う(最終回)

長寿社会に思う@からご覧ください。
 子供は両親がおじいちゃんやおばあちゃんに、どのように接するのかを見て育ちます。いわば両親への接し方を、両親の後ろ姿から学んでいくのです。両親と祖父母がバラバラに生活しているのを見れば、子供も両親と距離をとるようになります。両親が祖父母の悪口を言っていれば、子供も両親の悪口を言うようになります。両親が祖父母の介護をいい加減にすれば、子供も同じことをするものです。この世は恐ろしいほど因果応報の世界なのです。
 
 これからの時代は健康で長生きすることが、幸せだとは言い切れなくなるのかもしれません。それは健康で長生きすることばかりに捕らわれ、大切なことを忘れてしまっているからなのかもしれません。人間は必ず年をとり、病気にかかり死んでいきます。現代はある意味、無慈悲な医療によって病気にかかってから死ぬまでの期間がとても長いのです。一人で生活することのできない状態になった時に、大切になるのは何でしょうか。私は健康で長生きするよりも、病気になった時にあたたかく介護してくれる家族のほうがありがたいと思うのです。ですから、自分の健康よりも家族を大切にしたいと思います。
 
 現代は人との関わり方よりも、自分のことに関心が向かう傾向が強くなってきています。自分と相手を天秤にかけた時に、どうしても自分を優先してしまいます。それは家族に対してもそうなのかもしれません。家族の枠をなるべく小さくして、責任を持たず干渉されずに生活したいと思うのかもしれません。しかし、それは自分を孤独にしているということでもあるのです。私は家族こそが人間関係の基本だと思っていますし、家族の縁ほど強いものはないと思っています。その縁を放棄してしまって、いったい何が残るのでしようか。同じ屋根の下に暮らしながらバラバラに生活していて、家族に何の意味があるのでしょうか。

 これからの日本は家族の絆を見失ってしまったがために、お年寄りが尊敬されない、惜しまれながら死んでいけない時代が来るのかもしれません。しかし、忘れていけないのは、誰もがお年寄りになるということなのです。自分が年をとった時に家族にどのように接してもらいたいのか、そのためには今何をしなければならないのかを考えなければなりませんね。お年寄りが安心して暮らせる日本であってほしいと願います。



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2006.11.26:hs-1119
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