甲子の大黒さま

▼長寿社会に思う@

 老後の目標といえば、健康で長生きして、ボケないでポックリ逝きたいと誰もが願います。今日明日の心配ではなく老後の心配ができるのは、それだけ豊かで安定した生活をしているということなのかもしれません。日本人は健康に対して非常に関心が高いようです。健康番組はたくさんあり、テレビで取りあげられた健康食材は品切れの状態になることもあります。健康食品の通信販売のコマーシャルもたくさんあります。健康維持のために、お金と労力を惜しまない世の中になってきています。それは健康で長生きしたいという願いのためなのかもしれません。しかし、人間は生まれた瞬間から、死へと向かい歩んでいきます。もし、200年も300年も生きなければならないとしたら、それは不幸なことなのではないでしょうか。しかし、それでも死とは無縁でいたいと思ってしまうのが人間です。

 仏教では人間の根源的な苦しみは四苦(生・老・病・死)であると教えています。年々衰えていくことを実感させられ、あちらこちら痛いところが出てきて、病気にもなりやすくなります。病院などほとんど通ったことがなかったのに、徐々に通院の回数が増えていきます。病気になれば、通院も大変ですし検査も嫌なものです。たくさんの薬を飲み、一つ治れば、またどこが痛くなるということの繰り返しです。
 
 この世に生を受け、年をとり、病気になり、死んでいく、というサイクルは現代の医学でも克服することのできない人間のさだめなのです。それでも平均寿命80歳の長寿国に生きる私たには死ぬまでにたくさんの時間があります。人生50年といわれていた時代から比べれば30年もの猶予期間があるのです。昔は還暦ともなれば、よくぞ生きてくれましたと讃えられました。還暦は男女ともに最後の厄年です。昔は役年と書いて、長年の経験を生かして村の長老に加わる年でした。しかし、今は誰でもほとんど還暦を迎えることができます。あたりまえのことですから、あまりお祝いという雰囲気でもありません。年寄り扱いするなと怒られるくらい、今の還暦の人は若くて元気です。還暦といっても、退職の頃合いと同級会の機会という意識になっているのかもしれません。
 
 還暦から10年くらいは人生でもっとも楽しい時期です。かわいい孫の世話をし、友達との旅行を楽しみ、新しい習い事でも始めてみる。お金と時間と体力がバランスよく揃う数少ない時期なのです。ですから、老後をいきいきと楽しむためにも、みなさん健康に気を使います。ところが、人生最良の時期を過ぎてしまえば、どうなってしまうのでしょうか。
 
これからのお話しは・・・続きは明日掲載します。 


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2006.11.23:hs-1119

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