甲子の大黒さま

▼本当の豊かさとはD

 自分とまわりの人間を比較して一喜一憂しているうちは豊かな生活を得ることなどできません。私たちが抱える様々な悩みの多くは、自分を社会の基準に合わせようとするからなのかもしれません。「誰よりもママを愛す」というテレビドラマがありました。主人公の家庭ではお母さんが働き、旦那さんの田村正和さんは専業主婦という設定です。普通なら「男子たるもの一家を養うために働くべきである」という固定観念があります。長男は同性と一緒に暮らします。普通なら、恥をかかせるなと家を追い出されてしまうかもしれません。長女は夫婦漫才を目指します。普通なら「いい年なのだから、ちゃんと就職するか結婚しなさい」と怒られます。しかし、この家族はお互いの生き方を認め合い、とても幸せそうな家族として描かれていました。
 
私たちはどうしても世の中の基準というものに縛られます。

非行少年でさえ、あえて社会の基準から逸脱することで自分の存在を示そうとします。そういう意味では社会の基準に囚われているわけです。たしかに「世間の常識」というものには、長い歴史の中で作られてきた人間の英知が含まれています。しかし、

今の日本の価値感の多くは戦後の豊かさを求める日本人が作り上げてきたものなのです。

物質的な豊かさを享受するために作られてきたものであり、人間のためというよりも企業のための都合のよい価値感なのかもしれません。家族との時間を犠牲にして会社に尽くし、お金が回るようにと消費に明け暮れる、今の日本社会は人間中心ではなく、企業中心の社会なのかもしれません。しかも、そのことに戦争を生き抜いたおじいちゃんやおばあちゃんも、バブルの光と影を見てきた団塊の世代も、偏差値によって評価され育った就職難の世代も、リストラの嵐にじっと耐えている中高年も、今の日本社会を当たり前のこととして受け入れています。「今の日本は」と否定的に言われる場合、凶悪事件の増加、医療や福祉の問題、経済や行政の問題など様々な問題が取りあげられます。しかし、

今の日本の根底にある「お金という絶対的な基準によって生きている」ということに疑問を持つ人は少ないのかもしれません。
 
 そんな世の中の基準ではなく自分なりの・・・明日が最終回です、ぜひご覧ください 

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2006.10.05:hs-1119

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