よっけ。もも。れこ。かほ with 花巻

▼沈思黙考

 災害時のマスコミの役割とは・・・?23年前から考えてきたこと。

 大義名分のように言われる、真実の報道・・・
 東京のテレビ各局は、阪神大震災のときと同じように、横並びだ。
 繰り返し津波の映像や、荒涼とした沿岸の街、また避難所の様子を伝える。
 
 私は花巻のコミュニティFMのスタッフとして、大震災直後から市の災害対
策本部で24時間放送に対応している。市役所は自家発電設備があるので、被災
地ながら最初からテレビを見ることのできる環境があった。

 静まり返った深夜の災害対策本部で、テレビだけがにぎやかだった。
 アナウンサーとゲストが、夜通し津波の映像を見ながら議論している・・・
 翌日の夜からは、福島の原子力発電所の問題と、東京の計画停電の話も加わ
って、さらにテレビは張り切っていた。私はひとり泊まり当番をしながら、そ
の報道に違和感を覚えた・・・。ある種の吐き気を催すほどだった。

 真実の報道、事実を伝えること。ひとりでも多くの人に悲惨な被災地の様子
を伝えたい・・・お題目の様に、東京のメディアは叫び続けている。

 でも、沿岸の被災地の皆さんにとって今、必要なのは、食料と燃料であり、
健康を回復するための医療であり、そうした動きを伝える情報であるはずだ。
 
 東京のマスコミは、政府に最も近い位置にいる。
 そして、モノが豊富にある一大消費地の中にある。
 ならばその役目は、まず第一に、どうしたら被災地に早く必要な物資を届け
ることができるか?どうしたら買い占めや風評被害を防ぐことができるのか?
 そういったことを伝え、政府に働きかけ、全国の世論をつくることではない
のか・・・。
 それなのに、キー局は被害の少なかった首都圏の視聴者を相手に、凄まじい
現場の映像や、その中で見つけた「感動秘話」を感動的なナレーションやBGM
とともに放送する。記者が涙し、それを見たキャスターが涙する・・・。
 私の心にハテナが3つも4つもつく。

 もちろん今、私のラジオ局がやっていることは、影響力という意味では東京
のメディアにはるかに及ばない。
 明日、営業しているスーパーや飲食店を伝え、通行止めや交通規制の位置を
伝え、激励のメールを紹介し、心を和ませてくれそうだからと音楽を流す。
 校長先生から届いた卒業式延期の情報を伝え、病院の診察時間を伝え、営業
している温泉施設の情報を伝える。GSに殺到しないよう注意する・・・等々。

 普段パーソナリティとして地域のリスナーと向き合っている話し手が、災害
本部の一角に設けられた「放送席」に座って最新の情報を24時間伝えるのだ。

 沿岸の方々のご苦労に、遠く及ばないのは事実だろうが、内陸の街、花巻も、
今回の大地震のまぎれもない被災地なのである。
 ガソリンは全く手に入らず、食料は日に日に少なくなってきている。交通手
段の多くがストップしているので、高齢者は病院にも通えない。寒さで体調を
崩す人も増えている。目に見えない部分で、住民の生活レベルは少しずつ低下
しているのではないか・・・?

 私はちっぽけな花巻のコミュニティFMのスタッフの一員ではあるが、大手
メディアが伝えていない、地域の人の求める身近な情報にこだわりたい。地域
の人の心を支えるメッセージを放送したい。
(3/17久々に帰った盛岡の自宅にて)

画像 ( )
2011.03.19:えふえむ花巻
[2011.03.23]
コメントありがとうございます・・・ (落合よりぽちさんへ)
[2011.03.22]
今頃済みません^^; (ぽち)

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