石とのかかわり

▼墓石

 昔は墓石はどうやって作られていたか

石屋というのはやはり昔からあって、石屋というよりは石工というほうがいいかもしれない。
つまり木を加工する大工に対して石を加工する石工なのである。
木と同様、大店や建主が場所と材料を提供して そこに石工が自分なりに開発したり準備した
道具を持って来て作業をし、労賃をいただいて生活する。
昔は、工業ダイヤモンドなどはないので硬い石(花崗岩)はあまり加工には適さず、軟らかい凝灰岩や
安山岩などを加工して墓石や灯篭などを作った。
今と違い、設計図などはないので口頭説明と筆を使って和紙に書かれた絵などを元にして確認を得ながら作られていったものだと思う。それでもある程度仕上がりを頭において加工しないと出来上がり
が違ってくる。
ある時期から石工作業も分化して 石の取れる山で採掘している石工を丁場師、山師と呼び
その石を運び込んで加工石屋が仕上げる。恐らくは、築城、社寺建築などの大型工事物件
によりそのように分化したものと思われる。

 今は墓石はどうやって作られているか。

電動の研磨機、切削機石材切削機により自動化も可能になり、加工技術は進展した。
ただし、原材料は国内での大材確保は難しく、国外の帳場に頼りきりとなっている。特に
中国は、製作、船運、通関で1ヶ月。インドは、1.5ヶ月とアジアでの製作がほとんどとなってきている。
国外の加工工場では、やはり分化されていて丁場と加工とは別々のなっている。

では石屋の業務形態はどうなったかと言うと、依頼者、石屋と打合せ →輸入商社へ提案図依頼 →商社からの図面石屋確認 →石屋、依頼者に提案図打合せ →石屋商社へ修正図発注
→商社、修正図を国外加工工場へ発注 →国外工場加工 →コンテナ船積み →船運 →
入港通関 →陸送 →商社荷出し分配 →分配陸送 →石屋取付け →引渡し開眼式
となっている。
提案図が必要なのは 現地と依頼者と石屋と商社と加工工場が統一したものを製作するため
必要なのだ。
95%以上は商社が提案図を描いている。なぜ石屋が図面を描かないかと言うと、単にその技術が
ないのである。
今の石屋は何をするかと言うと、現地情報(顧客)の収集。商社の値引き発注。製品の取付け。
となる。

 石屋の選び方

石屋との打合せでは、どのような施工技術を持っているかを見ると良い。
例えば、耐震免震の工法が明示してあるか。さらに、きちんと説明できているか。
基礎工事についてはどうか。などである。
仏教関係に明るい石屋などと言われていても今はどんな墓でも建てられる時代なのだ。
まずは、施工技術である。

 特に基礎工事は、土木技術者の知識が必要なため、いい加減な事をされると石で耐震施工
しても無意味なことが多い。それを知らない石屋も多いので注意が必要だ。
そう言う資格がなくても石屋はやれるのである。
 その地区の仏教関係を知っていれば、土木技術などなくてもはぐらかすことも出来るから気を
つけなければいけない。
 お寺さんに灯篭などを寄附したりすれば、お寺さんから紹介もしてもらえる。お寺さんからの紹介
となれば、檀家さんだったら断ることも出来ない。
 今は、インターネット検索でいくらでも仏教関係情報を入れることはできるが、お墓の実質的な
施工については情報はつかめない。どんな石屋なのかはわからないのである。
 じゃ、どうやってそのよしあしを確認するかと言うと、まず基礎工事だけの図面をもらうのである。
自分のところに合わせた基礎工事計画をきちんと説明できれば合格だ。
 商社は現地には行かないので、基礎に関しては図面を書いてくれないのだ。もし商社が描いた
ものなら現地に関係なく描かれてくるはずだ。
 それほど大きな面積ではないので大げさな測量は必要ないから見積り時に持って来れるはずだ。
何でもかんでも同じにすればいいと思ってる輩も居るので要注意である。
 それもできない、その程度の技術しか持たない石屋で、出来たお墓はもしかしたら安いかも
しれないが何年後かにどうなるかは、言わずと知れたこととなる。
2008.02.07:golem

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